2012 Fiscal Year Annual Research Report
二核ロジウム錯体の創製を基盤とする不斉ルイス酸触媒反応の開発とその応用
Project/Area Number |
10J02247
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
渡邊 雄大 北海道大学, 大学院・生命科学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ヘテロDiels-Alder反応 / Rh(II)錯体 / ルイス酸 / 不斉触媒反応 / 重複不斉誘起 |
Research Abstract |
これまでLewis酸触媒では報告例がなかったRawalジエンや2-アザ-3-シロキシジエンとアルデヒドとの不斉ヘテロDiels-Alder(HDA)反応において、ロジウム(II)アミダート錯体Rh2(S-BPTPI)4が優れた触媒活性を示すことを見出している。 今年度は、Rh2(S-BPTPI)4存在下、4位にメチル基が置換したRawal型ジエンとアルデヒドとの不斉HDA反応のさらなる基質適用範囲の探索を行った。その結果、本法は芳香族アルデヒドだけではなく脂肪族アルデヒドや共役アルデヒドがジエノフィルとして適用可能で、完璧なエンド選択性かつ最高98%の不斉収率で付加環化生成物が得られることが分かった。また、ヘキサナールとの反応より得られる付加環化生成物をLuche還元してアルコールを単一異性体として得た後、Ferrier型転位反応を行い、生じたアセタールの酸化、オレフィンの還元を行うことでラン科の植物の芳香成分である(+)-cis-エランギスラクトンへ変換することができた。 さらに、Rh(II)錯体存在下でのα位あるいはβ位に不斉中心をもつ光学活性なアルデヒドとRawalジエンとのジアステレオ選択的HDA反応の検討を行った。アキラルな錯体であるRh2(OAc)4やRh2(cap)4を用いた場合、ジアステレオ選択性は劣悪な結果であったが、Rh2(S-BPTPI)4およびRh2(R-BPTPI)4を用いた場合には、反応は低温で円滑に進行し、触媒支配の優先絶対配置をもつ付加環化生成物が高いジアステレオ選択性で得られることが分かった。得られた生成物は、生理活性天然物合成における有用なキラルビルディングブロックになるものと考えられる。
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Research Products
(2 results)