2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J02270
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野海 俊文 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 素粒子論 / 弦理論 / 弦の場の理論 / 格子上の場の理論 |
Research Abstract |
弦理論は量子重力理論の有力な候補であると考えられているが,解決すべき重要な問題点もいくつか抱えている.そのため,弦理論の基礎的な理解を深めていくことは不可欠である.本研究は,そのような観点から,弦理論の基礎的な性質と深く関わっていると考えられているAdS/CFT対応の理解を深めるための手段として,反ド・ジッター時空における弦の量子化を目指している.2011年度は,AdS/CFT対応と同様に弦理論の基礎的な理解につながると考えられる弦の場の理論の研究を主に行ってきた. 弦理論の第一量子化を無矛盾に行うことが可能な背景時空は,世界面上の共形場理論(CFT)を定める.一方,弦理論の第二量子化の枠組みであると期待されている弦の場の理論においては,無矛盾な背景時空が古典解として表される.以上のような背景時空についての第一量子化と第二量子化のそれぞれの視点の関係を調べることは興味深い.このような視点から,近年理解の進んでいる開弦の場の理論の解析的な取り扱いをふまえ,開眼の無矛盾な背景時空が定める境界のある共形場理論(BCFT)と開弦の場の理論の古典解の関係性を調べている. 発表論文1において,BCFTの境界条件を変えるような演算子,boundary condition changing operatorを用いた超開弦の場の理論の古典解の構成し,この種の解の性質を詳細に調べた.またその仮定で,現在までに提唱されている超開弦の場の理論の間の関係性を古典解の視点から議論した.この論文の内容については,学会1~3において発表した. また,本研究の動機と直接の関係はないが,発表論文2において,格子状の場の理論におけるフェルミオンの対称性に関する研究を発表した.この論文の内容は学会発表4において発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は弦理論の基礎的な理解を進めることを目的としているが,現在までに弦理論の基礎的な理解に繋がると期待される弦の場の理論において一定の成果をあげており,おおむね順調である.
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに弦の場の理論の研究を行ってきたが,未発表の研究も発表する段階に近づいている.そのため,来年度もこれまでの成果をふまえて弦の場の理論を中心に研究を進めて行く予定である,
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