2011 Fiscal Year Annual Research Report
核膜孔ゲルの糖鎖選択的通過を利用した新規マテリアルの創製
Project/Area Number |
10J02318
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
関口 翔太 北海道大学, 大学院・総合化学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ナノ微粒子 / 核膜孔 / 核移行 / 糖鎖 |
Research Abstract |
細胞質-核間の物質輸送は、核膜に存在する多数の孔(核膜孔)を通して行われている。この核膜孔は、細胞膜と共に遺伝子導入における障壁として存在し、このために効率的な遺伝子発現が行えないことが知られている。したがって、細胞膜や核膜孔を効率的に通過するマテリアルの作製及びその通過メカニズムの解明は、遺伝子導入における重要課題とされている。本研究では、これまで申請者が作製してきたナノ微粒子をツールとして、特に核膜孔の通過メカニズムを解明することを目的とした。 本年度の研究実施計画に基づき、我々がこれまで作製してきたナノ微粒子の細胞核への拡散運動解析を行った。細胞質にナノ微粒子をマイクロインジェクションしたところ、直ちに細胞核内への拡散が観察された。この拡散は約15分で細胞質-核間で平衡に達したことから、受動拡散によるものであることが示唆された。核移行シグナルペプチドを修飾したタンパク質の核移行の場合は約30分で核に集積したことから、我々の作製したナノ粒子は、天然の核内輸送系とは異なるメカニズムで細胞核内に移行していることが分かった。また、インジェクションを行った細胞はその後分裂し、細胞毒性を全く示さなかった。細胞のがん化や副作用の可能性が少ないことからも、本研究は遺伝子導入にとって有効な手段となる。この成果は論文としてRSC Adv.誌に発表することができた(S.Sekiguchi, K.Niikura, Y.Matsuo, Shige H.Yoshimura, K.Ijiro RSC Advances, 2, 1656-1662(2012))。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の研究成果については計画以上に進行し、論文3報、著書1報を発表するに至った。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究計画が予想以上に進展したことから、遺伝子導入におけるもう一つの障壁である細胞膜を通過するマテリアルの作製も行っていく。この粒子の細胞膜通過性とこれまでの成果である粒子の核移行性を合わせ、遺伝子導入や核酸医薬へ応用する。
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