2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J02329
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小鷹 浩毅 金沢大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | ビスマス / 第一原理計算 / スピン・軌道相互作用 / ナノリボン / グラフェン |
Research Abstract |
採用一年目である本年度は、zigzag型のエッジを持つBiナノリボン(ZBNR)について、相対論的(fully-relativistic)な第一原理計算を用いて調べた。ZBNRのFermi準位近傍に存在するエッジに起因する2本の二重縮退バンドについて詳しく調べた。ZBNRは構造的に、zigzag型のエッジを持つgrapheneナノリボン(ZGNR)に類似しているが、Fermi準位近傍の2本のバンドの波動関数の振る舞いも類似していることがわかった(エッジに局在)。また、ZBNRのエッジ状態のバンドはスピン・軌道相互作用(SOI)の影響を強く受けていることがわかった。さらにZBNRの基板の影響についても調べた。エッジ状態のバンドはそれぞれスピン縮退しているが、1層Bi(001)薄膜の上に配置したZBNRでは、エッジ状態の2本のバンドは、空間反転対称の破れによりスピン分裂する。また、ZBNRに電場を印加すると、エッジ状態のバンドは基板の効果と同様にスピン分裂する。 2つ目に、k空間でのスピン分極を解析するプログラムの開発と、そのプログラムのテスト計算を行った。第一原理コードで計算した波動関数を出力しその結果を用いて各k点のスピン分極を計算するプログラムを作成するとともに、特定の等エネルギー面についてk点を集中的に計算し、それぞれのk点のスピン分極を計算するプログラムを作成した。私は作成したプログラムを用いて、grapheneシートなどのテスト計算を行ってた。その一つとして、SOIを意図的に増大させたgrapheneシートに電場を印加した計算を行い、逆格子のK点のDiracコーンでの2次元Rashba型分裂のスピン分極を調べた。
|