2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J02329
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小鷹 浩毅 金沢大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ビスマス / 第一原理計算 / ナノリボン / スピン・軌道相互作用 / グラフェン / Rashba効果 |
Research Abstract |
採用二年度である本年度は、前年度から引き続き、zigzag型のエッジを持つBiナノリボン(ZBNR)の研究を行った。また、採用一年度から始めていた、波数空間でのスピン分極を解析・可視化するプログラムの作成を行い、それを用いて、Bi(111)バイレイヤー構造での対称性の高いk点を中心とした渦型スピンとRashba効果の研究を行った。 Bi薄膜に積層したZBNRの計算や、電場印加したZBNRの計算についての計算などを行い、基盤の影響によるバンドのスピン分裂と、その際の波動関数のエッジ局在について調べた。これらの研究成果について学会発表とJapanese Journal of Applied Physicsに論文投稿を行った。この論文はすでに2012年1月20日に出版されている。 Bi(111)構造は結晶群No.156(C_<3v>^1)に属しているが、これと同じ結晶群に属する構造において対称性の高いk点を中心とした渦的なスピン構造が存在する事が知られている。Bi(111)バイレイヤー構造でもΓ点周りとK点周りにRashba型の渦型スピンが存在する事がわかった。また、薄膜に対し面直方向のスピン成分が存在し、その振る舞いが、Γ点周りとK点周りで異なることがわかった。これらの研究成果について、学会発表を行った。この研究に関してまとめた論文を執筆中である。Bi(111)薄膜構造は積層によりFermi準位近傍のバンド構造が大きく変化する。現在、Bi(111)薄膜構造のFermi面近傍のスピン分極の積層による変化について研究を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度から研究を行ってきた、Biナノリボンの研究について論文を投稿し、受理された。また、波数空間でのスピン分極を解析・可視化するプログラムを完成させ、Bi(111)バイレイヤー構造の渦型スピンとRashba効果の研究を行った。この研究も順調に進展しているため、このように評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、現在行っているBi(111)バイレイヤー構造のRashba効果の研究を発展させて、Bi(111)薄膜構造のFermi面近傍のスピン分極の積層による変化についての研究を行っていく予定である。 また、今年度作成した、波数空間でのスピン分極を解析・可視化するプログラムを用いて、他のC_<3v>対称性を持つ構造との比較や、自発磁化を持つ物質でのRashba効果についての研究等も行っていこうと考えている。 前年度と同様、作成したプログラムに機能を追加する事も延長して行っていく予定である。
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