2010 Fiscal Year Annual Research Report
NMR解析に基づくマウスフェロモンESP4の構造と受容体認識に関する研究
Project/Area Number |
10J02339
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
谷口 雅浩 熊本大学, 大学院・薬学教育部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | フェロモン / ESPファミリー / 特異的認識 |
Research Abstract |
フェロモンとは、同種間で社会行動や生殖行動に影響を与える物質である。フェロモンの重要な働きとして、同種の別個体を正確に認識する役割がある。個体認識の仕組みを理解する上で、受容体がどのようにしてフェロモンを厳密に認識するかを理解することは重要であるが、精密なリガンド識別メカニズムについての知見は十分でない。共同研究者である東原らは、オスマウスの涙より分泌される新規ペプチドESP1を同定し、38種類からなる新規の多重遺伝子ファミリー(ESPファミリー)の存在を明らかにした。ESP4は、外分泌腺のうち、眼窩外涙腺、顎下腺、ハーダー腺に分泌されており、ESP1とのアミノ酸配列の相同性が高い。我々は、ESP4がESP1と異なる受容体で認識されることを示唆する結果を得ている。本研究は、ESP4の立体構造および受容体認識機構を解明し、構造生物学の観点から、受容体の厳密なリガンド識別機構を明らかにすることを目的とする。 22年度は年次計画の目標であるESP4のオリゴマー形成能と受容体活性化能との相関を解明するために、NMR法に基づきESP4のアグリゲーション形成に重要だと考えられる残基の抽出および変異体実験を行った。NMR実験に基づきアグリゲーションサイトを同定することに成功し、変異を導入した結果、アグリゲーションが抑制された変異体を取得することに成功した。この変異体を用いて高濃度の試料を調製し、大阪大学蛋白研究所との共同で、950MHz NMRを用いて測定を行った。 その結果、従来の試料では得られなかった、構造決定に必要な情報をより多く含むスペクトルを得ることが出来た。
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