2011 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内動態制御を可能とするin vivo癌への革新的な核酸送達システムの構築
Project/Area Number |
10J02352
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
櫻井 遊 北海道大学, 大学院・生命科学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | siRNA / リポソーム / 5' RACE-PCR法 |
Research Abstract |
昨年度までに、当初の中間目標である「siRNAを腫瘍に送達することで標的遺伝子の発現を抑制可能なキャリアの構築」を行ってきた。本年度は、この得られた遺伝子発現の減少が真にRNAiの機構を介したものであるかの評価を行った。過去に行われた報告を参考とし、5'Rapid ampflication of cDNA ends PCR(5'RACE-PCR)法を用いることで、これまでとは異なり、非切断由来のmRNAの検出系の作製を試みた。その結果、腫瘍組織中のtotal RNA中にはsiRNAによって切断されたmRNAと考えられる、分子量のPCR産物が認められた。また、ゲル抽出後に配列を特定したところsiRNAによる切断を表す配列が認められた。 近年、複数のRNAi医薬の臨床試験が行われており、その中の一つに加齢性黄斑変性症という疾患に対するRNAi医薬がある。臨床第3相まで進行していたが、得られていた薬理作用がRNAiを介した作用ではなく、RNAが誘起する非特異的な免疫応答であることが明らかとなり、臨床からドロップアウトするという出来事が起きた。この時から、RNAi医薬を創出するときには、得られた薬理効果が本当にsiRNAを介した作用であるかを示すことの重要性が多くの論文によって報告されている。これらのことから、本年度によって得られた結果は、申請者が開発したキャリアが臨床試験に耐えうるキャリアであるということを示しており、今後の研究、あるいは企業との共同研究に弾みをつけるものであると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的である腫瘍組織中での遺伝子発現の抑制を達成し、またこの遺伝子発現の抑制が送達したsiRNAによるものであることを示す評価系の構築に成功した。これは、当初の予定とほぼ同等である。
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Strategy for Future Research Activity |
残る課題はin vivoで薬理効果を評価することのみである。そこで、初めにin vitroで腫瘍細胞に対して細胞増殖を抑制可能な標的遺伝子を数種類に絞り込む。その後、in vivoにおいて薬理効果を評価を行っていく予定である。
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