2010 Fiscal Year Annual Research Report
サルエイズモデルにおける長期SIV複製制御機序の解析
Project/Area Number |
10J02353
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩本 南 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | サルエイズモデル / SIV / CTL / エスケープ変異 / SIV複製抑制能 / Gag / Vif / Nef |
Research Abstract |
サル免疫不全ウイルス(SIV)感染サルエイズモデルを用いた実験において、MHC-Iハプロタイプ90120-a(A)共有アカゲザル群はDNAプライム/Gag発現センダイウイルスブーストワクチン接種により、SIVmac239複製制御に至ることが示されている。この初期SIV複製制御にはワクチンで誘導された3つのGag特異的細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答が重要である。ハプロタイプA共有長期SIV複製制御群における免疫応答を解析するために、1年以上の長期野生型SIV複製制御群に対して、ワクチン後では複製制御出来ないエスケープ変異を有する変異体SIVのスーパーチャレンジを行い、これらの個体における細胞性免疫応答の解析を行った。スーパーチャレンジ後、いずれの個体も変異体SIVを複製制御した。IFN-Y産生検出によるSIV特異的CTLの解析では、野生型SIV感染急性期にはGag特異的CTLが迅速に誘導されたが、慢性期になるとレベルの低下が認められた。非Gag特異的CTL応答では、スーパーチャレンジ後にVif、Nef特異的CTL応答が主として認められた。さらに、野生型および変異体SIVに対するCD8陽性細胞のSIV複製抑制能解析系を樹立し、SIV特異的CTLレベルとの相関を解析した。その結果、野生型SIV複製抑制能とGagエピトープ特異的CTLレベルの総和、Vif特異的CTLレベル、Nef特異的CTLレベルとの相関が認められた。一方、変異体SIV複製抑制能はVif特異的CTLレベルと相関が認められた。これらの結果から、Vif特異的CTLが変異体SIV複製抑制に寄与した可能性が示唆された。本研究によって、長期SIV複製制御群の細胞性免疫応答のダイナミクスが示され、長期SIV複製制御の間にワクチン接種後では複製制御出来ない変異体SIVを複製抑制できる免疫応答が誘導されうることが示唆された。
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