2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J02420
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
堀尾 奈央 九州大学, 大学院・歯学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 味覚 / アンギオテンシンII |
Research Abstract |
塩味の嗜好行動にはアンギオテンシンIIが重要な役割を果たしており、ラットでは血中アンギオテンシンIIの増加、その結果としてのアルドステロンの増加により、通常忌避する高張Na溶液の増加が、飲水量の増加に伴い起こることが知られている。本研究では、塩味嗜好性に関して、過去の研究で報告されているアルドステロンなどのホルモンによる味覚修飾効果であるNa応答増大がいずれも数時間で最大になるような時間オーダーのゆるやかなものであったことに疑問を抱き、より速い効果をもたらす可能性のあるアンギオテンシンIIに着目し、アンギオテンシンIIの末梢味細胞における修飾効果の解明を目的として、分子、電気生理学的解析を行った。RT-PCRの結果、正常系マウスの茸状乳頭ならびに有郭乳頭において、アンギオテンシン受容体であるAT1ならびにAT2のmRNAの発現が認められた。また、マウスの腹腔内にアンギオテンシンIIを投与すると、その血中濃度の増加に伴い鼓索神経の塩味応答が減少し、甘味応答が増大することが明らかとなった。アンギオテンシンIIによる味細胞への効果は、迅速に現れ30分以内に最大になることが推定された。昨年度の研究の結果、アンギオテンシンIIによる塩味嗜好の増加が起こるとした時に必要な末梢味細胞の塩味情報の低下が、きわめて短い時間オーダーでもたらされる可能性が示唆された。しかし、その情報伝達経路に関してはいまだ不明である。今年度は、AT1とAT2受容体のブロッカー投与後の鼓索神経応答解析を行い、アンギオテンシンIIによる味覚修飾機構のさらなる解明を行う予定である。
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Research Products
(7 results)