2011 Fiscal Year Annual Research Report
超ナノ微結晶ダイヤモンド/アモルファスカーボンの伝導型制御と太陽電池への応用
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10J02489
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大曲 新矢 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 超ナノ微結晶ダイヤモンド / n型化 / 窒素ドープ / ダイヤモンド / UNCD / ヘテロ接合 / 電気特性 |
Research Abstract |
第2年度目にあたる平成23年度の研究は,「n型超ナノ微結晶ダイヤモンド(UNCD)膜の創製とそのキャリア濃度コントロール」に重点をおいて実施した.IV族半導体の代表的なn型ドーパンドとして窒素が挙げられるが,ダイヤモンドにおける窒素ドーピングではドナー準位が伝導帯下端より1.7eVの深い位置に形成されてしまい,キャリア濃度の上昇が困難であった.これはダイヤモンド結晶内の置換原子位置に窒素が組み込まれることに起因している.これに対し,本研究では結晶ダイヤモンドとは構造の観点から大きく異なるUNCD膜中への窒素ドープを試みた.その結果,室温で数から数十meVの低い活性化エネルギーが発現することが明らかとなった.これは窒素原子が置換原子位置ではなく,UNCD結晶粒界中に優先的に組み込まれたことによる効果であると考察している.膜の電気伝導度はドープ量に応じて約3桁の変化を示し,室温で最高18[ohm・cm]までコントロールが可能であることを確認した.これは窒素ドープUNCD膜が,n型半導体材料として効果的に機能することを意味している.電気デバイスとしての動作確認のために,p型Si上にn型UNCD膜をヘテロ接合させ電流電圧(J-V)特性を評価したところ,μAオーダーの極めて低いリーク電流を伴う明確な整流特性が確認された.逆方向耐圧特性試験では,-100Vまでブレイクダウン現象は認められず,ダイヤモンド同様に高い破壊電界強度を有していると考えられる.前年度のボロンドープによるp型UNCD膜に続き,今年度は窒素ドープによるn型半導体化を確立することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
窒素ドープによる超ナノ微結晶ダイヤモンド(UNCD)膜のn型化とキャリア濃度コントロールが再現性良く実現可能であることを明らかにした.これは本課題最大の目標であるUNCD膜のpn接合フォトダイオードの創製に向けた重要な基盤研究であり,前年度のp型化に引き続きn型化が実現できたことは大きな成果であると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
UNCD膜のpn接合フォトダイオードの創製に取り組み,光電気物性を詳細に明らかにする.
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