2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J02533
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐藤 正典 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 宇宙論 / バリオン音響振動 |
Research Abstract |
今年度の研究は、本研究課題とは少し異なった研究を行った。その研究内容は以下のようである。 ・非線形バイアスと赤方偏移歪みのバリオン音響振動への影響 宇宙の未知の成分である暗黒物質、暗黒エネルギーに迫る有効な手法として、バリオン音響振動がある。バリオン音響振動は系統誤差が小さい方法として知られており、将来の広視野銀河赤方偏移サーベイにより、精密な観測結果を期待している。しかし、その一方で銀河バイアス、赤方偏移歪みという銀河赤方偏移サーベイでは避けられない系統的効果を考慮に入れたバリオン音響振動の理論的評価方法は未だに不十分である。 そこで、我々は、重力非線形成長を再和的に取り込めるのみならず、これらの系統的効果を自然に繰り込んだ理論であるLagrangian Resummation Theory(LRT;Matsubara 2008)と宇宙論的N体シミュレーションから求めた結果を比較することで、非線形バイアスや赤方偏移歪みがどのようにバリオン音響振動に影響を与えるかを見た。LRTは非線形成長によるスケール依存性を実空間で、k=0.35[h^<-1>Mpc](z=2,3)、赤方偏移空間でk=0.1[h^<-1>Mpc](z=2)、k=0.15[h^<-1>Mpc](z=3)まで1%の精度で再現できることが分かった。また、LRTはハローの相関関数のバリオンピークへの非線形性の影響を実空間、赤方偏移空間の両方ともで正確に記述できることが分かった。 この研究は、13.研究発表欄の通り、雑誌論文として掲載されていて多くの国内外の学会、研究会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
世界最大級の規模で数値シミュレーションのデータを作成して解析するなど、傑出した成果を上げているからである。国内会議や、外国での国際会議でも積極的に口頭発表を行った。査読付き研究論文は着実に出版されている。研究成果は期待以上のものがあり、極めて順調に研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題最終年である24年度も研究計画に従って研究を遂行する。極めて順調に研究が進んでいることから、研究計画の変更は必要ないと考えており、これまでと同様に直向きに研究に取り組み成果を上げていく。研究結果を論文にまとめるだけでなく、国内会議や外国での国際会議でも積極的に口頭発表をし、研究成果をアピールしていく。
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