2011 Fiscal Year Annual Research Report
人工らせんペプチドを用いた二重らせん構造の構築と不斉触媒への応用
Project/Area Number |
10J02692
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
逢坂 直樹 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | キラル / 金属錯体 / ケージ化合物 |
Research Abstract |
現在までに、6つの有機配位子(L)と4つの金属イオン(M)が自己組織化して形成するM_4L_6型の四面体ケージ状化合物は数多く報告されている。このようなケージ状化合物において、特にMの配位数が6のものでは中心金属原子周りにプロペラ状のキラリティを有する。そのため、ケージ内部はキラルな空間を有する。しかしながら、そのほとんどが光学不活性であり、キラルな内部空間を利用した不斉触媒や不斉選択的な分子の取り込みなどへの応用には不向きである。そこで、光学活性なケージ状化合物を合成するため、6等量の6,6'-ジホルミル-3,3'-ビピリジン、12等量のエナンチオピュアなフェニルエチルアミン、4等量のビス(トリフルオロメタンスルホン酸)鉄(II)をアセトニトリル中で混合することで片方のジアステレオマーだけからなるケージ化合物を得ることに成功した。また、アキラルな配位子だけからなる光学不活性なケージから光学活性なケージを得ることに成功した。この際、キラルなアミン残基がアキラルなp-メチルアニリン残基に対して少量ケージに組み込まれるだけでも中心金属周りの不斉がほとんど片方だけに誘起されることを明らかにした。さらに、低い鏡像体過剰率のフェニルエチルアミンを配位子のアミン成分として用いた場合、モデルの単核錯体と比較して中心金属周りの不斉の選択性が著しく向上した。これらの現象は、各中心金属周りの不斉情報が配位子を介した協同効果により伝達・増幅されたためである。また、この協同効果の程度をモデルの単核錯体と比較することで見積もることに成功した。さらに、上述した配位子6,6'-ジホルミル-3,3'-ビピリジンのピリジン環の間にトリフェニレンを有する配位子を用いたFe_4L_6型の四面体ケージ状化合物を用いることで、金属中心間の距離が2ナノメートル以上でも協同効果がほとんど衰えないことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
不斉触媒や不斉選択的な分子の取り込みなどへの応用が期待される超分子化合物の合成に成功し、さらにその一群の化合物における不斉情報の増幅・伝達様式等を解明したため。
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Strategy for Future Research Activity |
既に合成した分子内部にキラルな空間を有する超分子化合物を用い、不斉触媒や不斉選択的な分子の取り込みなどを試みる。
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Research Products
(4 results)