2012 Fiscal Year Annual Research Report
人工らせんペプチドを用いた二重らせん構造の構築と不斉触媒への応用
Project/Area Number |
10J02692
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
逢坂 直樹 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | キラル / 金属錯体 / ケージ化合物 |
Research Abstract |
現在までに、6つの有機配位子(L)と4つの金属イオン(M)が自己組織化して形成するM_4L_6型の四面体ケージ状化合物は数多く報告されている。このようなケージ状化合物において、特にMの配位数が6のものは、中心金属原子周りにプロペラ状のキラリティを有する。そのため、ケージ内部はキラルな空間を有する。しかし、そのほとんどが光学不活性であり、キラルな内部空間を利用した不斉触媒や不斉選択的な分子の取り込みなどへの応用には不向きである。そこで、光学活性なケージ状化合物を合成するため、6等量の6,6'-ジホルミル-3,3'-ビピリジン、12等量のエナンチオピュアなフェニルグリシノール、4等量のビス(トリフルオロメタンスルホン酸)鉄(II)をアセトニトリル中で混合することで、片方のジアステレオマーだけからなるケージ化合物を得ることに成功した。また、フェニルグリシノールに対して立体障害の小さい光学活性なアミンを用いた場合、モデルの単核錯体と比較して中心金属周りの不斉の選択性が著しく向上することを見出した。この現象は、各中心金属周りの不斉情報が配位子を介した協同効果により伝達・増幅されたためである。さらに、上述した配位子6,6'-ジホルミル-3,3'-ビピリジンのピリジン環の間にキシレンスペーサーを1つから3つ有する配位子を用いたFe_4L_6型の四面体ケージ状化合物を用いることで、配位子部位の軸性キラリティに関わらず金属中心間の距離が2ナノメートル以上でも協同効果がほとんど衰えないことが分かった。また、この協同効果の発現機構を分子モデリングを駆使することで明らかとした。
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Research Products
(2 results)