2011 Fiscal Year Annual Research Report
有限温度下での多体エンタングルメントの解析および関連する物理現象の探索・解析
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10J02812
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中田 芳史 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | エンタングルメント / ランダム状態 / ハミルトニアン動力学 / カノニカル状態 / スピン模型 |
Research Abstract |
「有限温度下での多体エンタングルメントの解析および関連する物理現象の探索・解析」に向けて、今年度は以下の研究を行った。 1.空間的不均一性を持つ一次元スピン系において、不均一性が量子相転移・エンタングルメントに与える影響の解析(イタリア理論物理学国際研究所のJ.Hide博士との共同研究) 2.エンタングルメントと密接に関係している「等重率の原理を仮定しない、カノニカル分布の導出」および「量子多体系の時間発展のシミュレート可能性」の解析 3.熱平衡状態の量子情報処理への応用を考え、「三次元スピン模型における熱的相転移を活用した、量子誤り符号訂正可能温度の向上」の解析(大阪大学の藤井博士との共同研究) 4.ニスピン間の異方的ハイゼンベルグ相互作用によるエンタングルメント生成を、各スピンへの局所定常場によって、実効的にキャンセルする方法の解析(国立情報学研究所の根本教授との共同研究) 5.エンタングルメントの特性を量子論よりも広い視点より解析する「一般確率論」における、「量子位相」の一般化(オクスフォード大学のV.Vedral教授との共同研究) 1,2,4,5はエンタングルメントに関連した研究であり、1,2,3は多体量子系における研究である。また、1,3では有限温度多体系を考えている。研究成果1,2では、エンタングルメントと関連した物理現象の解析を行っているため、研究目的に近い成果を達成できたと考えている。その他の研究3,4,5は、従来の手法を周辺分野へと応用することで得られた成果であるため、本年度は研究目的の達成という観点だけでなく、その周辺への応用という意味で有意義な成果を残せたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、当初の研究計画に対して一定の成果を達成することができただけでなく、当初目的の周辺分野に関する成果もあげることが出来た。当初計画以上の成果を達成できているという点を鑑みて、現在までの達成度は「当初計画以上に進展」が適切であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究方針も本年度の研究方針と同様である。当初研究計画の達成に対して邁進すると同時に、その周辺分野において関連する研究課題を見つけ、積極的に研究に取り組んでいきたいと考えている。
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