2012 Fiscal Year Annual Research Report
ブタクサとブタクサハムシを用いて,外来種の遺伝的・可塑的反応を検証する
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10J02845
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
深野 祐也 九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 進化 / 誘導防御 / 構成的防御 / 外来植物 |
Research Abstract |
多くの外来植物は原産地の天敵から逃れている。そのような外来植物では、天敵に対する防御物質への投資を減らし、成長や繁殖への投資を増す方向に進化が起きると予測されている(EICA仮説)。実際に、この予測どおりの変化がいくつかの外来植物で確認されている。しかし、これまでは、食害を受ける前の防御レベル(=構成的防御)を原産地と侵入地で比べた研究がほとんどあった。一方で、食害を受けたあとに、防御レベルを上昇させることが、多くの植物で知られている(=誘導防御)。本研究では、外来植物ブタクサAmbrosia artemsiifoliaの原産地集団と侵入集団を用いて、天敵ブタクサハムシOphraella communaに対する構成的防御と誘導防御のレベルをバイオアッセイと化学分析を用いて調べた。 バイオアッセイ実験の結果、原産地集団に比べて侵入地集団は構成的防御を低下させていた。誘導防御に関しては、侵入地集団は原産地集団と同じ程度の誘導防御反応を維持していた。一方、化学分析の結果、植物の防御に関係しているであろうフェノール類・タンニン類の量は原産地と侵入地で構成的なレベルに差がなかった。しかし誘導防御に関しては、食害刺激後フェノールの量が優位に増加していた。これらの結果は、侵入地集団においては構成的防御を低下させているが、誘導防御は維持されていることを示唆している。誘導防御は、構成的防御に比べてコストが低いと考えられているため天敵の少ない侵入地でも維持されていると考えられる。
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Research Products
(5 results)