2010 Fiscal Year Annual Research Report
機械学習を適用した機能的磁気共鳴画像法によるエピソード記憶定着・想起の結果予測
Project/Area Number |
10J02882
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡部 喬光 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 長期記憶 / 機能的磁気共鳴画像法 / 機械学習 / 海馬 / 下前頭葉 |
Research Abstract |
本研究の目的は、機械学習を用い、神経活動からエピソード記憶の定着・想起を予測することを通して、長期記憶の定着・想起の成立のために十分な神経基盤の条件を解明することにあった。本年度は、刺激・刺激提示プログラムの作成、正常被験者を用いた脳活動の測定及び、その解析を行った。脳活動の測定には機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用い、解析には機械学習の一つであるlinear support vector machineを適用した。解析ではまず、長期記憶の定着の有無に関して最も正確な情報を含んだ脳領域を、各被験者毎に海馬内から検索した。次に、その海馬領域から得られた脳信号をもとに、各刺激が想起できるのかどうかを予測した。最後に脳信号計測とは独立して行った記憶テストの結果とその予測を照らし合わせ、予測の的中率を算出した。その結果、13人中10人の被験者において、統計的に有意に高い的中率で、長期記憶の定着の有無を予測することができた。これは、同じ被験者内で使用するデータセットを変えた場合でも再現された。一方、脳信号を使用する領域を海馬ではなく下前頭葉に設定した場合は、有意に高い的中率は得られなかった。この結果は、機械学習を使用することで脳活動測定後の行動を予測できる可能性を示している。さらに、少なくともこの課題で使われた刺激の記憶の定着には、下前頭葉よりも海馬での処理のされ方がより重要な意味を持つことも示唆している。この結果は、査読付き国際学術誌に掲載され(Watanabe T, et al.Neuro Image.2011)、国際学会で発表された(Neuroscience 2010, San Diego, USA)。
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Research Products
(4 results)