2012 Fiscal Year Annual Research Report
視物質における分子内機構の多様性が蛋白質間相互作用効率に及ぼす影響
Project/Area Number |
10J02939
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
筒井 圭 大阪大学, 生命機能研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 視覚 / 視物質 / リン酸化 |
Research Abstract |
視物質は動物の視覚を担う光センサー蛋白質である。脊椎動物の視物質は、暗所視を担う桿体視物質と、昼間視・色覚を担う錐体視物質に分けられるが、そのうち錐体視物質はさらに波長感受性の異なる4つのサブグループ(赤/緑緑、青、紫/紫外)に分類される。各サブグループにはそれぞれ発色団の吸収波長制御のための固有の分子内機構が存在する。しかし、そのような分子内機構の違いが吸収波長以外の視物質の性質に与える影響は明らかになっていない。そこで本研究は、「波長感受性の異なる視物質間における分子内機構の違い」が「視物質と他の蛋白質との相互作用効率」に与える影響の検証を目的とした。特に、光を受容して活性化した視物質がすみやかに不活性状態に戻るために必要な反応である「キナーゼによる視物質のリン酸化」に注目して実験を行った。 昨年度までの研究において、コイの波長感受性の異なる錐体視物質が錐体特異的なキナーゼであるGRK7によってリン酸化される効率を比較することを試みたが、錐体視物質の活性状態(リン酸化されうる状態)の寿命が短いことにより正確にリン酸化効率を比較できるには至らなかった。そこで本年度は、活性状態の寿命を長くする変異を視物質に導入し、波長感受性の異なる錐体視物質のリン酸化効率を比較することを試みた。その結果、緑感受性錐体視物質の変異体は青感受性視物質の変異体と比較して約2倍の効率でリン酸化されることを見出した。同時に、0.1秒の時間分解能でリン酸化を測定できる装置を用いて野生型の錐体視物質のリン酸化効率も測定したところ、やはり緑感受性錐体視物質が青感受性視物質の約2倍の効率でリン酸化されるという結果を得た。この結果から、錐体視物質の分子内機構の違いが波長感受性の違いだけではなく他の蛋白質との相互作用効率の違いをも生み出していることが示された。
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Research Products
(2 results)