2010 Fiscal Year Annual Research Report
マサバ、マアジの飼育実験系を用いた各種繁殖パラメータの解明および母性効果の検証
Project/Area Number |
10J02973
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
入路 光雄 九州大学, 大学院・農学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | マサバ / ホルマリン固定卵巣標本 / バッチ産卵数 / 飼育実験 / 産卵誘導 / マアジ / 親子判定 |
Research Abstract |
1、各種透徹剤・染色剤を組み合わせたホルマリン固定卵巣標本の細胞質透明化の開発について。10%ホルマリン液にて固定された後、約5年間保管されたマサバ卵巣標本を用い、卵母細胞の透明化により卵黄形成卵と核移動期卵を識別する方法を開発した。染色剤で卵母細胞の卵核胞(GV)や油球を染色し、ベンジルアルコールと安息香酸ベンジルの混合液(1:2)に浸して細胞質を透明化し、GVや油球を容易に観察できることがわかった。この方法を用いることで、マサバの資源評価の指標となるバッチ産卵数算定に核移動期卵を持つ魚を用いることが可能になった。2、マサバ飼育実験系を用いた、孵化仔魚の初期成長について。海面生簀内にて飼育された雌雄マサバ親魚に合成生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRHa)を投与し、屋内コンクリート水槽内で産卵を誘導した。翌日より受精卵、孵化仔魚を適宜採集した。稚魚は海面生簀へと移し、およそひと月に2回ずつ15-20尾を採集した。いずれも体重・体長を記録し、飼育下でのマサバ仔稚魚の成長過程を明らかにした。3、マアジのGnRHa投与による水槽内での産卵を確実に誘導する技法の確立について。天然より釣り上げた雌雄マアジ親魚にGnRHaを投与し、屋外コンクリート水槽内で産卵を誘導した。翌日より得られた受精卵を回収し、孵化仔魚を飼育した。産卵量、受精率、孵化率を記録するとともに、受精卵、孵化仔魚は適宜採集し、母子判定のため95%エタノールにて固定した。雌親魚より抽出したmtDNAのD-loop領域を解析し、受精卵の一部で親子判定を試みた。結果、マアジ親魚4尾においてmtDNAによる母子判別が可能であることが明らかとなった。また、受精卵の母親魚を特定することで、マアジが連日産卵可能であることがはじめて明らかとなった。
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Research Products
(3 results)