2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J03027
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
猪股 直生 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 熱センサ / カンチレバー / マイクロ流体チップ |
Research Abstract |
本研究の目的はカーボンナノチューブ(CNT)を用いた高感度温度センシングシステムを構築し,単一生体分子の熱測定を行うことである.22年度の実施計画は,CNTの気中・液中での熱的性質を,定量的に評価することである.CNTに関する熱的特性に関する報告は数多く存在するが,それは真空中における結果である.生体分子を,活性を保ったまま測定するには,液中である必要がある.SOIウェハ上に,フォトレジストを用いたリソグラフィをはじめとするMEMS技術で作製したデバイスを用いて,気中・液中において実験・測定を行った.その結果,CNTの一方の末端をマイクロヒーターで熱した際,CNTの温度を1℃上昇させるのに必要な熱量は,液中,気中,真空中の順に大きいことがわかった.これは,CNTは軸方向に優れた熱伝導率を有するといわれているが,CNT表面を介して周辺環境に熱が逃げていることが推測できる.しかし,液中においても十分測定できるほどの温度変化が生じており,熱センサとしての応用が可能であることを示唆している.また,マイクロ流体チップとカンチレバー型センサを組み合わせた,液中における高感度熱測定システムの構築を行っている.外乱防止や溶液置換などの利点を持つ閉空間を有するマイクロ流体チップ内にマイクロ真空チャンバーを設け,そこに高分解能を有する接触センサであるカンチレバーの一方の端を,他方をマイクロ流路中に埋め込む.液中で検知された熱を,カンチレバーを介して真空中で測定することで,周囲への熱の逃げを減少することができる.現在まで,実際にデバイスを作製し,カンチレバーの一部が接している真空-液体の境界壁があっても,一方の端から他方へ熱が伝達されることを,カンチレバーの共振周波数変化を測定することで確認した.
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