2010 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウイルス複製に関与する宿主因子の同定および機能解析
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10J03053
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
黒木 美沙緒 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | C型肝炎ウイルス(HCV) / 宿主因子 / がん抑制因子 / Promyelocytic leukemia (PML) / ヒト肝がん細胞Li23 / ESCRT |
Research Abstract |
本研究の目的は、C型肝炎ウイルス(HCV)複製に関与している宿主側の因子を同定することと、その因子のHCV生活環における役割を明らかにすることである。 当該年度においては、宿主因子であるpromyelocytic leukemia (PML)がHCV複製に必要であること、および、HCV生活環の中でRNA複製ではなくウイルス産生に関与していることをつきとめた。 さらにESCRT (Endosomal Sorting Complex Required for Transport)小胞輸送経路がHCV粒子産生に関与していることも見出した。 これらの研究により未だ明確になっていないHCVの生活環に関与している宿主因子が同定出来、この発見は新たな抗HCV剤のターゲットを見つける一助になると考えられる。 PMLはがん抑制因子として知られており、HCVと発がんとの解明にも繋がる可能性がある。 実際、HCV CoreがPMLと結合する結果、PMLの細胞増殖抑制効果やアポトーシス誘導能をキャンセルすることが報告されているため、大変重要な発見である。 ESCRT小胞輸送経路が粒子産生に関与しているという発見は、未だ確立されていない遺伝子型1bの感染性HCV粒子産生系の研究にも寄与する可能性がある。 他の研究課題としては、従来から汎用されているヒト肝がん細胞株HuH-7系とは異なる新しいLi23系の細胞から、感染性HCV-JFH1株の複製レベルが高いクローンの選択を試みている。 複製レベルの高いクローンが得られれば、抗HCV剤のスクーリニングや宿主因子の解析に有用である。現在までにHuH-7系の細胞のHCV RNA複製レベルと同等の複製レベルが得られた細胞やHCVレセプターの発現量が異なる細胞を単離することに成功している。
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Research Products
(5 results)