2011 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウイルス複製に関与する宿主因子の同定および機能解析
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10J03053
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
黒木 美沙緒 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | C型肝炎ウイルス(HCV) / 宿主因子 / がん抑制因子 / PML / P-body / stress granule |
Research Abstract |
当該年度において、PMLがHCV複製の後期に関与していることと、PML関連タンパク質であるINI1とDDX5もHCVの生活環に関与していることを、感染性ウイルス粒子産生系であるJFH1感染細胞とJFH1のサブゲノムRNA複製細胞を用いて、PML、INI1、およびDDX5のノックダウン細胞におけるHCV RNA複製レベルをコントロール細胞と比較することで明らかにした。これらの結果は本研究の目的である「HCV複製に関与している宿主因子を同定すること」を達成しており、未だ成し遂げられていない遺伝子型1bのHCV粒子産生系の開発につながる可能性があり重要である。一方で、P-body因子とHCV複製の関係についてJFH1株を用いて明らかにした。JFH1株感染細胞ではHCVが細胞質スペックルであるP-body因子の形成を阻害し、P-body因子をHCVの複製の場である脂肪滴にハイジャックすることを見出した。また、JFH1感染36時間後にstress granuleが誘導されること、そしてstress granule因子であるG3BPI、Ataxin2やpoly(A)-binding protein 1(PABP1)がHCV感染に伴いP-body因子の一つであるDDX6及びHCV Coreと共局在していることも明らかにした。さらに、DDX6、Ataxin2或はPABP1のノックダウン細胞においてJFH1の複製レベルが減少したことから、P-body因子やstress granule因子はHCV複製に必要であることが分かった。HCV感染に伴い宿主細胞にストレス応答が起きており、HCV感染の発がんへの関与解明に繋がる成果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに明らかとなっていないHCV複製に関与する宿主因子を複数同定し、その生活環における役割を明らかにしたことは、HCVの基礎研究において重要な意味を持ち、研究計画のうちの該当部分は達成出来たため。またLi23(多くのHCV研究に用いられているHuH-7系の細胞とは異なる肝がん細胞株)細胞からHCVJFH1株の複製効率が良いsubclone(L8c15)を同定出来たため。
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Strategy for Future Research Activity |
PML関連タンパク質とHCVについて論文にまとめるとともに、国際共同研究として他のP-body因子とウイルス複製について詳細に解析する。また、研究計画で予定していた異なる細胞間でのウイルス複製レベルの比較が単純には行えないため、JFH1株以外のHCV RNA(J6/JFH1やJRN/35B)を研究に用いることと、RNAウイルスの複製を制限する宿主因子についても解析することで、予定していた研究を遂行して行く。
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Research Products
(2 results)