2012 Fiscal Year Annual Research Report
ジャスモン酸12位水酸化酵素の同定及び、傷害応答性移動シグナル分子の解明
Project/Area Number |
10J03176
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
北岡 直樹 北海道大学, 大学院・農学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シトクロームP450 / 防御応答 / イネ / 酵素特異性 |
Research Abstract |
昨年度はジャスモン酸不活性化に関する研究をさらに応用し、ジャスモン酸によって誘導されるイネのファイトアレキシンの一種であるPhytocassaneの生合成に関する研究を行った。Phytocassaneの生合成は、前駆体となるゲラニルゲラニル二リン酸(GGPP)が二種の環化酵素により環化を受け炭素骨格が形成されent-cassadieneとなり、その後シトクロムP450等により修飾を受け生合成される。先行研究により2種の環化酵素及びシトクロームP450であるCYP71Z7、CYP76M7、CYP701A8が同定されている。CYP71Z7、CYP701A8、CYP76M7はそれぞれent-cassadieneの2位、3位、11位を水酸化する活性を有する。私は、生合成に関与する環化酵素及びシトクロームP450をコードする遺伝子で形質転換した大腸菌を用い低分子化合物を得るmetabolic engineering systemを活用し、Phytocassane生合成に関与すると予想されるシトクロームP450のさらなる評価を行った。 前述のようにent-cassadieneの2位水酸化酵素として報告されているCYP71Z7の酵素活性をより詳細に解析し、CYP71Z7はent-cassadieneの2位に水酸基を導入するのみでなく、2位をさらに酸化しカルボニル基とし、その後3位に水酸基を導入する活性を有することが明らかとした。CYP71Z7には90%以上の相同性を示すCYP71Z6が存在する。またイネはent-cassadieneの他にも数種類のジテルペンを有することが知られている。そこで、metabolic engineering systemを用いてCYP71Z6及びCYP71Z7の基質特異性を調べた。その結果ent-コパニル二リン酸から生合成されるent-kaurene、ent-isokaurene、ent-sandaracopimaradiene、ent-cassadieneを基質とした際、CYP71Z6は2位のみを水酸化するが、CYP71Z7に関しては2位水酸化体に加えて3位水酸化体、2-keto-3-olを与えることが明らかとなった。水酸化体の位置選択性は、ent-cassadieneを基質とした際はほぼ2位水酸化体のみを与え、ent-sandaracopimaradieneを基質とした際は、2位水酸化体と3位水酸化体を同程度与えるといったように基質に依存することが示された。これら反応特異性は基質によって酵素の活性中心であるヘムとの位置関係が基質によって異なることによって生じると予想される。
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Research Products
(1 results)