2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J03208
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三代 憲司 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 有機触媒 / 糖 / 位置選択的 / 基質特異的 / アシル化 |
Research Abstract |
糖類の位置選択的官能基化を目的として新規触媒開発に取り組んだ。これまでに当研究室ではD-グルコース誘導体の4位水酸基に高選択的なアシル化を起こす触媒(以下触媒1)の開発に成功している。触媒1の反応メカニズムを新規触媒開発に適用することを目的とし触媒1の詳細な解析を試みた。触媒1の基質特異性について検討を行った結果、D-グルコースと類似構造を持つ様々な糖類との共存下でもD-グルコース骨格をもつ糖を優先的にアシル化することが分かった。また、触媒1の反応中間体モデル(以下1A)を合成し糖類の会合定数の測定をNMRによって行った結果、1Aは種々の糖類と1:1で会合し、その会合定数は異なる糖類間で大きな差は無いことが分かった。このことから本触媒における基質特異性は単純な会合のし易さに起因するものではなく、会合する場合のコンフォメーションが重要であることが示唆される。また、触媒構造の検討を行った結果、触媒1のオクチルエステル部分を芳香環を持つエステルに変換した触媒(以下触媒1')がOctyl β-D-glucopyranosideに対して1より優れた位置選択性を示すことを見出した。また、基質特異性に関しても1'の方が優れており、1を用いると76%の選択性であった系に1'を適用すると選択性は85%に向上した。選択性が向上した要因としては、芳香環が遷移状態構造を適切な構造に安定化させることに寄与していること等が考えられる。これらの知見は本触媒が検出試薬として有用である可能性を示すと共に触媒設計に関して新たな知見を与えるものである。今後は今回得られた知見を元に新規触媒開発に取り組んでいく。
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Research Products
(2 results)