2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J03208
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三代 憲司 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 有機触媒 / 糖 / 分子認識 / 位置選択的 / 基質特異的 |
Research Abstract |
去年度に引き続き当研究室で開発されたD-グルコース誘導体の4位水酸基に選択的なアシル化を起こす触媒(以下触媒1)の反応メカニズム解析及びその基質特異性の検討を行なった。本位置選択的アシル化が高度にD-グルコース骨格特異的であることを見出し、反応速度解析から基質特異性が加速的なメカニズムで起こっていることを確認した。また、反応速度解析において反応に関与する成分の反応次数を求め触媒及び基質の反応次数がいずれも一次であることが見出された。この結果は以前おこなった触媒1の反応中間体モデルと基質との相互作用解析の結果と一致しており、反応遷移状態において触媒位置と気質は1:1の相互作用を形成することが改めて示された。また、DLグルコース誘導体のアシル化の反応速度比解析から反応遷移状態における熱力学的パラメータの差を算出をおこなった。その結果反応遷移状態における活性化エンタルピーは3.1kcal/mol程D体のアシル化が有利であることが分かった。また、活性化エントロピーは7.5cal/mol程D体のアシル化の方が小さく、これはD体のアシル化の遷移状態がL体のアシル化の遷移状態に比べより秩序だったコンフォメーションを取っていることを示唆している。以上の結果から、D-グルコースのアシル化反応では糖と触媒が1:1の複合体を形成し、その場合に4位水酸基が反応点に接近するため加速的に選択的なアシル化が起こると考えられる。一方でL体のアシル化では水素結合を形成しないアシル化が起こるために、熱力学的パラメータに上記の差が生じたと考えられる。今後は今回得られた知見をもとに新規触媒開発に取り組んでゆく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
触媒1の反応メカニズムは大方明らかになり、基質認識型触媒の構造として有望な新規構造モチーフも発見できたことから、研究は概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまで得られた知見をもとに目的である糖類の位置選択的官能基化を行うための新規触媒設計及び反応開発を行う。また、新たに見出された新規構造モチーフについてもその有用性を探り、基質認識型触媒として用いたいと考えている。
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Research Products
(2 results)