2011 Fiscal Year Annual Research Report
標的タンパク質の立体特異的リガンド認識を利用したマメ科植物就眠運動の分子機構解明
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10J03237
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
猪俣 翔 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 就眠運動 / 分子プローブ / 標識化 / ビアリールリンカー / 剛直性 |
Research Abstract |
申請者は、就眠運動の詳細な分子機構解明を目指し、分子プローブ法によるアメリカネムノキの就眠物質標的タンパク質の同定を検討した。 昨年度、アメリカネムノキに極微量含まれる標的タンパク質を効率的に標識化・精製可能なビアリール連結型プローブ(以下,BArLプローブ)を開発した。ビアリールリンカーは自由度が低く剛直であると考えられるため、本年度は、リンカー部位の剛直性が標識化性能へ及ぼす影響を検討した。柔軟なリンカー構造を有するトリグリシン型プローブ、トリアゾール骨格とアリール部位の間にエチレンスペーサーを導入したプローブ、ポリエチレングリコール(PEG)型プローブ、さらに剛直性を期待できるリンカー構造を有する2種のキノリン型プローブを合成し、これらの標識化性能をBArLプローブと比較した。 その結果、トリグリシン型プローブ以外の全てのプローブで、標識化性能の大幅な低下が見られた。柔軟なリンカー構造を有するプローブの性能低下は予想通りであったが、性能の向上を期待して合成したキノリン型リンカーを有するプローブは、予想に反してBArLプローブよりも標識化性能が低下した。これらの結果は、リンカー個々の剛直性と標識化性能の間には、直接的な相関がないことを示しており、高性能プローブの統一的な分子設計にはさらに詳細な検討と解析が必要であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年3月の東日本大震災の影響で、研究環境の復旧・整備が大幅に遅れてしまったため。年度当初の達成目標と比較してやや遅れているものの、徐々に回復する兆しが見える。
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Strategy for Future Research Activity |
一次配列の解析に必要十分量のアメリカネムノキ就眠物質標的タンパク質の標識化・精製をおこなうため、より標識化性能の高いプローブを開発する。また同時に、標的タンパク質の大量精製を指向したアメリカネムノキ運動細胞プロトプラストの調製法や標識化条件、および精製方法を最適化し、タンパク質標識化実験の大スケール化条件を確立する。
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Research Products
(1 results)