2010 Fiscal Year Annual Research Report
らせん構造制御を基盤とする新規キラル材料の創製と応用
Project/Area Number |
10J03247
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宮部 季隆 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ポリフェニルイソシアニド / らせん高分子 / 星型ポリマー / 不斉識別 / 原子間力顕微鏡 |
Research Abstract |
側鎖にL-アラニンデシルエステル残基を導入したフェニルイソシアニドを白金-パラジウム錯体を用いて重合すると、分子量分布が狭いにも関わらず分子量の大きく異なる右巻きと左巻きのポリマーが同時に得られる。これらのポリマーはアセトンを用いた溶媒分別により左巻きと右巻きのポリマーに簡便に分離でき、単離後もリビング重合開始剤としての活性を保持している。本研究では、単離したポリマーを開始剤に用い、架橋モノマーのブロック共重合を行い、星型ポリマーを合成した。得られた星型ポリマーのAFMによる構造解析と不斉識別能の評価を行った。 リビング重合を駆使することにより、剛直ならせん高分子を腕に有する星型ポリマーを合成した。得られた星型ポリマーの絶対分子量を光散乱検出器を用いたSECにより測定したところ、腕の本数は平均16本と見積もられた。希薄溶液をmica基板上にキャストして調製したサンプルのAFM観察により、コアから複数の剛直なポリマー鎖が「ウニ」のように伸びている様子が観察された。また、グラファイト基板上にキャストし、溶媒蒸気下で保存することで調製したサンプルではポリマーは基板上で自己集合し、二次元結晶を形成した。このサンプルの高分解AFM観察により、星型ポリマーの分子レベルでの形状、すなわち、コアの大きさ、腕の数、らせんの向きなどを直接観察することに初めて成功した。また、得られた星型ポリマーは不斉識別能を有し、らせん高分子や低分子ラセミ化合物の一方のエナンチオマーを優先的に吸着した。
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