2011 Fiscal Year Annual Research Report
MAPKとMediator Complexによる協調的ストレス応答制御機構
Project/Area Number |
10J03280
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
服部 鮎奈 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | MAPK / 線虫JNK経路 / 重金属ストレス応答 / KGB-1 / FOS-1 / リン酸化 |
Research Abstract |
線虫C.elegansにおいてMLK-1(MAPKKK)、MEK-1(MAPKK)、KGB-1(MAPK)経路は重金属ストレス応答と幼虫発生に機能している。これまでにFOS-1がKGB-1経路下流で機能することが示唆されて来た。しかし、重金属ストレス応答においてFOS-1の下流で機能する因子は明らかになっていなかった。そこで、DNAマイクロアレイを用いて、KGB-1経路により発現が制御される因子を探索した。その結果、KGB-1依存的に重金属ストレスによって発現が誘導される遺伝子kreg-1~3(KGB-1-regulated gene)を同定した。fos-1機能阻害によってkreg-1~3の発現が上昇することから、FOS-1はkreg-1~3遺伝子発現においてリプレッサーとして機能していると考えられる。また、kreg-1~3を機能阻害した個体は、重金属感受性を示した。以上の結果から、以下のようなモデルが考えられる。重金属ストレスが無い状態では、FOS-1がkreg遺伝子の発現を抑制している。一方、重金属ストレス存在下では、活性化したKGB-1がFOS-1をリン酸化し、リプレッサーとしての機能を阻害する。その結果、kreg遺伝子が発現し、重金属ストレス応答が誘導される。今後は、FOS-1のリプレッサーとしての作用機序の解明を通じて、KGB-1経路による重金属ストレス応答経路の解明を試みる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイクロアレイスクリーニングにより、新たにKGB-1経路下流で発現を制御される遺伝子群を同定した。
|
Strategy for Future Research Activity |
FOS-1がどのようにしてkreg-1の遺伝子発現を抑制しているのか検討する。これまでの知見から、ヒストン脱アセチル化酵素であるHDACが転写因子と結合して、標的遺伝子のプロモーター上にリクルートされることで、その遺伝子の発現を抑制することが知られている。そこで、FOS-1がHDACの線虫ホモログであるHDAと協調的に機能することでkreg-1遺伝子発現抑制を行っている可能性を検討する。
|
Research Products
(3 results)