2010 Fiscal Year Annual Research Report
概日時計の細胞内振動ならびに細胞間同調を担うリン酸化シグナリング
Project/Area Number |
10J03287
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉山 康憲 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 生物時計 / サーカディアンリズム / 時計タンパク質 / プロテインキナーゼ / 細胞内局在 / モノクローナル抗体 / タンパク質リン酸化 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
本研究では、細胞『内』および細胞『間』のリズム調節において重要な役割を果たすキナーゼシグナルネットワークを明らかにするため、交付申請書の研究実施計画に沿って研究を遂行した。細胞『内』において概日リズムの制御に関わるプロテインキナーゼを探索するため、一日の様々な時刻に摘出したマウス脳をDignam法により細胞質と核に分画し、各画分に存在するプロテインキナーゼをマルチPK抗体(プロテインキナーゼを網羅的に検出できる抗体)を用いて解析した。その結果、各画分に多数のキナーゼが検出され、このうち大部分のキナーゼの発現量に有意な変動は認められなかった。しかし細胞質と核画分においては、48kDaおよび58kDaのキナーゼの発現量が昼に高く夜に低いという日内変動を示した。この結果は、一部のキナーゼの発現量が概日時計によって制御されることを示唆する。次に、細胞『間』において概日リズムの同調に関与するキナーゼを探索するため、ショ糖密度勾配遠心法によって細胞膜画分からラフトおよび非ラフト膜を調製し、マルチPK抗体を用いて各画分を解析した。その結果、細胞膜における48kDaおよび58kDaのキナーゼの存在量に有意な変動は見られなかったが、これらキナーゼの存在量はラフトにおいて夜(ZT20)に上昇し、非ラフト膜においては昼(ZT4)に上昇することを見出した。これらの結果は、細胞膜上の48kDaおよび58kDaのキナーゼが夜間にラフトに移行する可能性を示す。今後は、これらのキナーゼがラフトへ局在することの意義の解明を目指す。
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