2011 Fiscal Year Annual Research Report
分位点回帰モデルの非線形モデルの開発、推定と時系列データへの応用についての研究
Project/Area Number |
10J03304
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小林 弦矢 神戸大学, 経営学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Approximate Bayesian Computation / 一般化ラムダ分布 / 分位点分布 / 一般化ラムダ分布 / マルコフ連鎖モンテカルロ / モデル選択 / Pseudo Marginal Approach |
Research Abstract |
ベイズ分位点回帰モデルにおいては尤度関数に非対称ラプラス分布が用いられる.しかし,非対称ラプラス分布は実際のデータの尤度ではないため制約的である,本研究では,このような制約にとらわれないより柔軟な分位点回帰モデルの非線形モデルや時系列モデルを開発するために,一般化ラムダ分布に注目することにし,次の研究を行った.一般化ラムダ分布は分位点関数によってのみ定義され,解析的に尤度関数を求めることができない.尤度関数の評価が困難であるときにはApproximate Bayesian Computation(ABC)という手法を用いることで事後分布から近似的にサンプリングを行うことができる.パラメータ推定のアルゴリズムは昨年度の研究も含め多くのものが提案されつつあるが,モデル選択のABCアルゴリズムについてはいまださらなる研究の必要があると考えられる。既存のモデル選択アルゴリズムは,棄却サンプリングや重点サンプリングを基にしたものがあるが,これらの手法は採択率が低いことや計算時間が大きくなってしまうという問題があった. そこで本研究では代替的なABCのモデル選択アルゴリズムを提案する.新しいアルゴリズムはパラメータの次元の異なるモデル間のジャンプを行う.このようなアルゴリズムは,リバーシブルジャンプアルゴリズムがよく知られているが,リバーシブルジャンプアルゴリズムは提案分布の構築が困難であることも知られており,尤度関数の情報を用いることができないABCの状況では効率的な提案分布の構築が非常に困難であることが予想される.よって研究ではシンプルで柔軟なPseudo Marginal Approach(PMA)という手法を採用する.PMAを基にしたモデル選択アルゴリズムは,定常分布がモデルの事後確率であるようなアルゴリズムを近似することができ,ABCの枠組みの中で簡単に用いることができる.提案分布の選択は効率性を高めるために任意に行うことができる.日本の所得の実際のデータを用いた分析では,新しいアルゴリズムは重点サンプリングを基にしたものよりも短い時間で実行できることが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ABCは新しい手法であり,効率的なパラメータ推定の方法やモデル選択の方法など整備されるべき対象が多いといえる.その中で本研究ではモデル選択の手法を取り扱い,分位点分布を用いた分位点回帰モデルへの応用に向けての研究成果をあげたと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は昨年度および作々年度の研究の成果を下にして,回帰モデルへの本格的な応用を行なっていく.特に近年注目されているシュリンケージの問題において,解析的に密度関数が得られない事前分布の問題をABCによって解決する,といったことも考えていく.
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