2011 Fiscal Year Annual Research Report
CD160を中心とするT細胞レセプター複合体のHVEMに対する新たな分子認識機構
Project/Area Number |
10J03326
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
帯田 理恵子 九州大学, 大学院・農学研究院, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | CD160 / HVEM / co-receptor / SPR / T cell regulation / 構造生物学 |
Research Abstract |
T細胞の活性化は,T細胞上の補助刺激受容体と抗原提示細胞上の補助刺激分子との相互作用(補助刺激シグナル)により,複雑に制御されている.補助刺激分子であるHVEM(ヘルペスウイルス侵入仲介因子)は,活性型受容体であるLIGHT,抑制型受容体であるBTLAにより認識されることが知られている.近年,HVEMの新しい抑制型受容体としてCD160が同定され,CD160/BTLA/LIGHT/HVEM経路として注目されているが,その分子機構は不明であった.補助刺激シグナルは,自己免疫疾患における免疫抑制や腫瘍に対する免疫増強など,免疫療法のターゲットであるため,HVEMとその受容体のシグナルネットワークを明らかにすることは大変重要である.今年度は,表面プラズモン共鳴(SPR)法により,LIGHTとCD160およびBTLAの競合実験を行い,LIGHTがCD160とBTLAのHVEMへの結合に対して競合しないことを明らかにした.前年度までのSPRによる相互作用解析の結果と合わせると,HVEMのCD160とBTLAに対する結合領域は部分的に重なっていると考えられる.CD160単独の結晶化について,二次構造予測等を用いてフレキシブルなN末端あるいはC末端領域を除いて結晶化を試みたが,現在のところ良好な結晶は得られていない.今後,フリーのシステイン残基をセリンに置換したコンストラクトを用いる,糖修飾によるタンパク質の安定性向上を期待してヒト細胞発現系で発現させる,などの工夫をして引き続き結晶化を目指す予定である.
|