2010 Fiscal Year Annual Research Report
時分割XAFSと組み合わせた種々の分光学ツールによる錯体触媒の反応機構解析
Project/Area Number |
10J03327
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
朝倉 博行 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | XAFS / 錯体触媒 / in situ / 因子分析 |
Research Abstract |
鈴木-宮浦カップリング反応は学術面のみならず、工業的にも重要な反応の1つであるが、最初の発見から30年以上経つ現在でもその反応機構、特にトランスメタル化過程は未だに議論中である。反応機構を明らかにすることは、高活性な触媒設計の指針として重要である。本研究ではXAFSと他の分光法を用いることによりトランスメタル化過程の反応中間体にアプローチできると考え、<31>^Pおよび<11>^B NMRをin situ XAFSに組み合わせることで2-ブロモ-4-フェニルピリジンとフェニルボロン酸の鈴木-宮浦カップリング反応における反応中間体の存在および構造について検討した。その結果、NMR測定により、パラジウム-フェニルボロネート種が安定な反応中間体として存在していることが示唆された。また、フェニルボロン酸の添加の有無によるパラジウム種の構造変化をin situ XAFSにより追跡し、得られたスペクトルに因子分析を用いて解析することにより、パラジウム-フェニルボロネート種が存在することを実験的に示した。本研究では、in situ XAFSとNMRを組み合わせることにより、不安定な中間体にアプローチできた点が重要であり、様々な測定対象に利用できる構造解析手法であるXAFSの均一系触媒反応への応用の可能性を示した。
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