2010 Fiscal Year Annual Research Report
有機太陽電池における高効率な電荷輸送経路の構築に関する研究
Project/Area Number |
10J03334
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 宏暢 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 特別研究員(DC2)
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Keywords | グラフェン / 光電変換特性 / フタロシアニン / フラーレン / 液晶 / 電荷輸送特性 |
Research Abstract |
本年度は、有機薄膜太陽電池における高効率な電荷輸送経路構築を目指し、以下の2つの課題に関して研究を行った。まず、ポルフィリンを酸化亜鉛-グラフェン複合体に吸着させることで光機能性を付与し、さらにその複合体を光電変換系へ適用することを目的に研究を行った。その結果、グラフェンを含む系ではグラフェンを含まない系と比べて、高い光電変換特性を発現することが分かった。これは、光励起に伴うポルフィリンから酸化亜鉛への電子移動の後、グラフェンを介した高効率な電子輸送経路が構築されているためであると考えられる。この結果は、グラフェンを足場として用いた電極上への有機無機複合体のボトムアップ式構築法として、有用な知見を与えると考えられる。次に、液晶性分子を用いて、ドナー・アクセプター分子のバイコンティニュアス構造を構築することを目的に研究を行った。具体的には、液晶構造を形成することが報告されているフタロシアニンをC_<60>と共有結合を用いて連結させた分子(ZnPc-C_<60>)を合成した。液晶構造を評価した結果、ZnPc-C_<60>は加熱処理を行うことで、ディスコチックヘキサゴナルカラムナー構造を構築することが明らかになった。さらに、この液晶構造中では、C_<60>はフタロシアニンの一軸カラム周りに螺旋を巻いているような構造をとることが示唆された。TOF測定を行った結果、ZnPc-C_<60>はアンバイポーラー特性を示したことに加え、高いキャリア移動度を有することが明らかになった。このような液晶構造と電荷輸送特性との相関の解明は、液晶分子を用いた有機デバイスの開発に有用な知見を与えると考えられる。後者の研究は計画を前倒しして進めているが、両研究課題ともに順調に成果が出ており、現在、論文として報告する準備を行っている。
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Research Products
(12 results)