2012 Fiscal Year Annual Research Report
歪直交多項式のスペクトル変形理論の構築による離散可積分系の導出とその応用
Project/Area Number |
10J03343
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三木 啓司 京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 歪直交多項式 / 多重直交多項式 / Rahman多項式 / 量子状態転送 / 量子可積分系 |
Research Abstract |
研究計画の最終年度である平成24年度では、これまで得られた歪直交多項式に関する知見を元に、アルゴリズムを実装し、数値計算へと応用していくことであった。当初予定していたこの計画は、アルゴリズム、すなわち対応する離散可積分系を得ることまでは成功したが、実際に実装するまでには至らなかった。 しかし、モントリオール大学のLuc Vinet氏、ドネツク物理工科研究所のAlexei Zhedanov氏らとの共同研究により、直交関数系の拡張概念である多変数直交多項式や多重直交多項式の研究が進み様々な物理問題への応用を行うことに成功した。以下、得られた結果を述べる。 多変数直交多項式に関しては、Rahman多項式と呼ばれる多項式系列の満たす様々な性質を明らかにし、量子状態転送問題や量子超可積分系との対応関係を示した。量子状態転送h量子コンピュータの設計にも関わる基礎的な概念であり、今回得られた結果は実問題にも非常に有益な結果につながると期待される。量子超可積分系に関しても、Rahman多項式を用いてSU(2)対称性を持つ2次元モデルを新たに構成することに成功した。この結果は特に光学につながると期待されている。 同時パデ近似問題から導入された多重直交多項式は、近年ランダム行列の理論などに活発に応用されている。今年度はこの多重直交多項式に関してもいくつかの知見を得ることに成功し、特に多重Meixner多項式にたいして、新たに対応する物理モデルを明らかにした。具体的には、同時対角化可能な、多次元調和振動子モデルの新たなハミルトニアンを構成することに成功した。この結果からさらに多重Meixner多項式の関係式を系統的に導出することにも成功した。 以上、最終年度である平成24年度の研究は、当初の計画とは違うところに到着したが、得られた結果は様々な物理問題と関連しており、十分な応用が期待されるものとなった。
|
Research Products
(8 results)