2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J03355
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大西 康太 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 標的分子 / テルペノイド / 分子シャペロン / zerumbone / 分子生物学 |
Research Abstract |
これまでに、マウスマクロファージRAW264.7において、ZERが、その活性発現に重要なHuR及びKeap1と共有結合を形成することを明らかにしてきた。以下に、平成22年度における研究成果を示す。 ZERのbiotin標識体(BioZER)を処理したRAW264.7からin vivo結合タンパク質を回収した。本サンプルをWestern Blot (WB)及びMALDI-TOF-MSを用いて解析した結果、計30種の結合タンパク質を同定できた。次に、WBにおけるバンド強度を指標とし、同定したタンパク質に対するBioZERの結合選択性を評価したところ、Keap1及びL-plastinに対して高い選択性をもって結合することが明らかとなった。続いて、RNAiによりこれら二種のタンパク質発現を抑制したRAW264.7におけるZERの生理活性を評価したところ、コントロール細胞と同程度の生理活性が保持されていた。以上の結果より、Keap1及びL-plastinは、どちらもZERの生理活性に寄与していない可能性が示された。 計画していたZERの標的分子は未だに同定できていないが、現在、これまでとは全く異なる新たな視点をもって研究に取り組んでいる。上述した結果を得る過程で、BioZERが非特異的に多くのタンパク質と結合することを見出した。ZERにより修飾を受けた無数のタンパク質が、生体において変性タンパク質として認識され、これに対する適応反応としてheat shock proteins (HSPs)などの分子シャペロンが誘導されるのではないかと考えた。この仮説を証明できれば、合成薬剤と比較して結合特異性の低い植物二次代謝産物特有の活性発現メカニズムの提唱につながる。実際に、ZERはマウス肝臓がん細胞hepa1c1c7においてHSP70やHSP40を誘導した。現在、詳細な誘導機構などについて解析中である。
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