2011 Fiscal Year Annual Research Report
エキゾチックな構造を持つハドロン励起状態の系統的研究
Project/Area Number |
10J03389
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
関原 隆泰 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ハドロン励起状態 / カイラル対称性 / エキゾチックハドロン / ストレンジネス / 理論核物理 / ハドロン物理学 / 量子色力学 |
Research Abstract |
ハドロン分子状態やマルチクォーク状態等、エキゾチックな構造を持つハドロンの研究は、ハドロンの系統的な理解や状態出現に必須な要素の把握を通じて強い相互作用の本質に迫る、重要な課題である。本研究の目的は、エキゾチックな構造を持つと予想されるハドロン励起状態、特にΛ(1405)に関して、その構造の理解と解明を追求する事である。 平成23年度は、特に軽い原子核における原子軌道からのK-吸収をΛ(1405)の観点から理論的に考察した。原子核におけるK-吸収では、"質量殻外"の陽子とK-とが反K中間子-核子の閾値よりも下に存在するΛ(1405)を生成してΛ(1405)を介した反応が起こるので、Λ(1405)に関連した情報が引き出せると期待されている。結果として、重水素及び4Heに対するK-吸収分岐比からΛ(1405)と非共鳴バックグラウンドとの干渉効果による反K中間子-核子相互作用の閾値以下のエネルギー領域における変化が観測され得る事を示した。 次に、Λ(1405)を始めとするハドロン分子状態やマルチクォーク状態と期待されるハドロンに対し、相対論的重イオン衝突におけるハドロンの生成量からその構造を特定する方法を提案した。コアレッセンス("合体")模型を用いてハドロン生成量を計算した所、エキゾチックでない場合の生成量と比較して、コンパクトなマルチクォーク状態は1桁小さく、一方ハドロン分子状態は2倍以上の生成量を持つ事が示唆された。 最後に、連続時空間におけるファインマン経路積分を近似的に評価する方法を開発した。この方法はこれまでの離散化された系の数値シミュレーションに対して相補的な役割を担うと期待される。結果として、一次元調和振動子及び四次元U(1)、SU(2)ゲージ場の量子揺らぎを定性的に再現した。
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Research Products
(11 results)