2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規ペプチドデザインを目指した、ランチビオティックの生合成・作用機構の解明
Project/Area Number |
10J03407
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
西江 麻美 九州大学, 大学院・農学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ランチビオティック / ABCトランスポーター / ペプチダーゼ / リーダーペプチド |
Research Abstract |
【背景・目的】ランチビオティックとは異常アミノ酸を含む抗菌性ペプチドの総称である。本研究の目的はランチビオティックの特徴である、異常アミノ酸を任意のペプチドに導入し、安定性や新たな生理活性を付与するランチビオティック工学の創製である。【研究実施状況】(1)ランチビオティック生合成酵素NukM、NukTの解析。NukMのC末端領域(NukMc)は、相同性検索の結果より環化を担っていると予測した。また、N末端側(NukM_N)は他のタンパク質との相同性を示さないものの脱水反応を担っていると予測した。そこでNukM_NとNukMcの精製を行った。基質であるNukAとこれらの精製タンパク質を解析したところ、NukM_Nは脱水を触媒するがNukMcは酵素活性を持たないことが明らかとなった。NukTはN末端側にペプチダーゼドメイン、C末端側にATP結合ドメインを有する。先の研究でNukTのペプチダーゼ活性はATP存在下のみで機能することをin vitroで証明した(Nishie et al.,J.Biosci.Bioeng.,2009)。ペプチダーゼドメイン、ATP結合ドメインの活性中心のアミノ酸に変異を導入し、各ドメインの活性を損なうような変異体を構築した。これらを用いた生化学的実験を行うことで、二つのドメインが活性状態でなければペプチダーゼ酵素として機能しないことを証明した。(Nishie et al.,J.Biol.Chem.,2011)(2)Nukacin ISK-1の作用機構の解明。 Nukacin ISK-1は細胞膜構成成分であるLipid IIを標的とすることが示唆されている。そこで、Lipid IIを精製後、nukacin ISK-1に対するアンタゴニスト活性を解析した。Lipid IIはnukacin ISK-1の抗菌活性を阻害し、これら二つの分子が相互作用することが示された。さらに等温滴定型熱量測定(ITC)を用いてlipid IIとnukacin ISK-1が相互作用すること、抗菌活性を持たないnukacin変異体は相互作用しないことを明らかとした。(Islam,Nishie et al.,J.Am.Chem.Soc.,2012)
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Research Products
(14 results)