2010 Fiscal Year Annual Research Report
心筋細胞肥大における肥大反応遺伝子の転写調節機構の解明
Project/Area Number |
10J03435
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
砂川 陽一 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 心肥大 / 心不全 / クロマチン / p300 / GATA4 / NuRD / RbAp48/46 / GST-pull downアッセイ |
Research Abstract |
新規GATA4結合蛋白であるNuRD (Nucleosome Remodeling Deacetylase)複合体の構成蛋白であるRbAp48/46によるp300/GATA経路の制御機構の詳細な解明のため,下記の実験を実施した。(1)GST-pull downアッセイにより,RbAp48/46はGATA4およびp300と直接結合することを確認した。(2)HEK293細胞においてIP-WB法にてGATA4はRbAp48/46とそれぞれ結合することを確認した。(3)p300/GATA経路による肥大反応遺伝子の転写活性化に対する影響をHEK293細胞で調べたところ,p300/GATA4で誘導されるANFやET-1のプロモーター活性をRbAp48/46は用量依存的に抑制した。(4)p300のHAT活性への影響をIP-WBにて検討したところ,p300過剰発現によって増加するGATA4のアセチル化はRbAp48/46によって抑制された。(5)また,培養心筋細胞においてフェニレフリンによって増加する肥大反応遺伝子の転写活性はRbAp48/46によって有意に抑制された。レンチウイルスを用いてRbAp48/46を過剰発現させた心筋細胞はフェニレフリンによって誘導される心筋細胞の肥大を有意に抑制することを見出した。 NuRD複合体は,Mi2b, RbAp48/46, HDAC1/2などからなり,転写を制御することが知られている。今回の研究では,NuRD複合体因子であるRbAp48/46の過剰発現によりp300のHAT活性が抑制され,心筋細胞肥大が抑制されたことを見出した。このことからRbAp48/46を活性化する薬物の開発が待たれる。また,RbAp48/46による肥大抑制効果の詳細なメカニズムの解明,さらには心不全モデル動物を用いた検討などを行う必要がある。
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