2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J03504
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
草田 康平 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 金属ナノ粒子 / 固溶体合金 / パラジウム / ロジウム / 銀 / 水素 |
Research Abstract |
本研究の目的はバルクでは固溶体を得ることの出来ない合金系において、そのサイズをナノレベルまで小さくすることで新規の合金ナノ粒子を作製し、その構造や電子状態を、物性を通して理解することである。新規の固溶体型合金は、いわば新たな物性を持ちうる新規の元素と同等であり、材料開発をはじめとする研究範囲を益々拡大する可能性があることは明白である。申請者は特に周期表において、レアメタルであるPdの周辺に存在する遷移金属の合金系に注目し、研究を行っている。本年度は、周期表においてPdの両隣に位置するRhとAgの固溶体型合金を新規に作製し、その水素吸蔵特性を評価することで電子状態を調べた。Pdはその体積の約1000倍もの水素を吸蔵することが知られているが、RhとAgは全く水素を吸蔵しない。Pdの水素吸蔵特性はその電子状態と密接に関係していることがこれまでの研究からわかっている。申請者が作製したAgRh固溶体型合金は水素を吸蔵し、その吸蔵量は金属組成比が1:1で最も多くなることが分かった。この金属組成比は、バンドフィリングモデルから、Pdの電子状態に類似すると考えられ、実際に水素吸蔵量が最大となったことから、Ag_0.5Rh_0.5合金ナノ粒子はPdの電子状態に近づいたということが,示唆された。この結果は下記に示す雑誌論文に投稿後、新聞やテレビにより報道された。また、申請者は他の合金系であるPdRu系における固溶体型合金の作製にも着手し、新規の固溶体型合金の作製に成功した。
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