2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J03504
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
草田 康平 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 金属ナノ粒子 / パラジウム / 水素 / 固溶体 |
Research Abstract |
本研究の目的はバルクでは固溶体を得ることの出来ない合金系において、そのサイズをナノレベルまで小さくすることで新規の合金ナノ粒子を作製し、その構造や電子状態を、物性を通して理解することである。新規の固溶体型合金は、いわば新たな物性を持ちうる新規の元素と同等であり、材料開発をはじめとする研究範囲を益々拡大する可能性があることは明白である。我々は特に周期表において、レアメタルであるPdの周辺に存在する遷移金属の合金系に注目し、研究を行っている。昨年度は、周期表においてPdの両隣に位置するRhとAgの固溶体型合金を新規に作製し、その水素吸蔵特性を評価することで電子状態を調べた。Pdはその体積の約1000倍もの水素を吸蔵することが知られているが、RhとAgは全く水素を吸蔵しない。Pdの水素吸蔵特性はその電子状態と密接に関係していることがこれまでの研究からわかっている。申請者が作製したAgRh固溶体型合金は水素を吸蔵し、その吸蔵量は金属組成比が1:1で最も多くなることが分かった。この金属組成比は、バンドフィリングモデルから、Pdの電子状態に類似すると考えられ、実際に水素吸蔵量が最大となったことから、Ag0.5Rh0.5合金ナノ粒子はPdの電子状態に近づいたということが示唆された。この結果を踏まえて、本年度はPdRu合金ナノ粒子の合成およびその物性の解明に取り組んだ。PdRu固溶体合金もAgRh系と同様これまで全組成にわたって得られていなかったが、AgRh固溶体の手法を応用することで全組成にわたって固溶体を作製する事に成功した。また、水素吸蔵特性を評価すると、金属組成比に従い連続的に物性が変化することから、その電子状態も連続的に変化する事が示唆された。周期表においてRuとPdの間には高価であり、NOx還元触媒などとして有用なRhが存在する。来年度は固溶体合金の触媒評価などを中心に研究を進めていきたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度においては、2009年末に注目された、銀-ロジウム固溶体型合金ナノ粒子の水素吸蔵特性に関する記事の執筆、新合金の作製および物性の評価を行った。その結果、2件の解説記事が発刊され、海外特許申請も許可され、5カ国に特許を出願するまでに至った。また、新合金の発表内容でも2件の賞を受賞した。更に、研究活動の中で新たな構造を有する単金属ナノ粒子を発見し、その内容に関しても国内特許出願に至った。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度は2年目で得られた新規の固溶体合金の実験結果を論文に執筆することをまず目標とする。また、予定では多種の新規合金を作製することを目標としたが、2年目で単純金属にて面白い実験結果が得られたため、そちらの実験に力を入れ、その結果も論文として執筆することを目標とする。
|
-
-
-
-
-
-
[Book] 燃料電池2011
Author(s)
草田康平、小林浩和、山内美穂、北川宏
Total Pages
4
Publisher
燃料電池開発情報センター
-