2010 Fiscal Year Annual Research Report
マントルウェッジ最上部のレオロジー;かんらん岩捕獲岩の構造発達過程
Project/Area Number |
10J03708
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
佐津川 貴子 静岡大学, 創造科学技術大学院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | かんらん岩捕獲岩 / マントル / 微細構造 / 地震波異方性 / 結晶方位定方配列 |
Research Abstract |
最上部マントル由来(約30km以深)であるかんらん岩捕獲岩の微細構造解析,及び岩石がもつ地震波特性を見積もった.その結果,隠岐嶋後(西南日本)については,かんらん石のMg#は約0.86から0.90まで変化するメタゾマティズムの傾向を示すのに対し,かんらん石のファブリックは大きく変化しない結果が得られた.また,本年度新たな手法として用いた微量元素組成分析の結果,一の目潟かんらん岩捕獲岩(東北日本)は,軽希土類元素に枯渇したパターンを示し,隠岐島後かんらん岩捕獲岩(西南日本)は,メルトによる最肥沃化を受けた傾向がみられた.しかし,微量元素組成データに関しては現在も解析中であり,モデリング(付加されたメルトの見積もり)やファブリックとの関連に関する考察については,来年度以降引き続き行っていく,マントルウェッジのレオロジーをより明確にするために,大陸縁辺部由来(Knippa)と大陸リフト帯由来(Kilbourne Hole)のかんらん岩捕獲岩についても同様の手法を用いて解析を行い,岩石がもつ地震波特性を見積もった.Knippaかんらん岩捕獲岩について,岩石のファブリックから異方性帯の厚さを見積もったところ,観測されている遅延時間を説明できることが分かった.更に,Knippa周辺地域では,内陸部ほど遅延時間が遅くなる傾向が観測されている.本地域は,南部ローレンシア大陸下とされており,それぞれ2回のリフティングと造山運動を繰り返し経験していることから,分裂剪断波の傾向このような複雑なテクトニック背景を経験している可能性が高い.Kilbourne Holeかんらん岩捕獲岩については,岩石のもつ異方性のみで観測されている地震波異方性を説明することは難しい結果が得られた.本地域はリフト帯であることから,特定の方向に配向したメルトが存在している可能性が予想される.
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Research Products
(2 results)