2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J03841
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
宇田川 幸大 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 東京裁判 / 戦争犯罪 / 戦争責任 |
Research Abstract |
22年度は1.『極東国際軍事裁判速記録』(雄松堂書店、1968年)、書証類などの分析、2.日本側の戦犯対策の具体的内容と変遷の解明の2点について重点的に研究を進めた。1.の作業では、連合国側が日本側(具体的には海軍・陸軍・外務省・大蔵省)の何をどのような根拠によって追及しようとしたのかを検討した。特に22年度は、外務省(具体的には重光葵と東郷茂徳)関係事件に関する追及内容と審理過程を解明することが出来た。陸軍側や大蔵省側についても同内容の作業を進めており、近日中に作業が完了する予定である。1.の作業を通じ、これまで明らかにされてこなかった連合国側の日本側への具体的追及事件の内容、及び追及根拠の全体像を解明することが出来た。2.の作業では、1.で解明した連合国側の追及に対して日本側が如何なる対応策を講じたのかを明らかにすることを目指した。本作業では特に、外務省側や大蔵省側の裁判対策に関する分析を重点的に行った。外務省と大蔵省については国立公文書館所蔵資料(法務省司法法制調査部「戦争犯罪裁判関係資料」に含まれる、関係者による聴取記録、「極東国際軍事裁判弁護関係資料」など)を収集・分析し、大きな成果を挙げることができた。従来、外務省側と大蔵省側の戦犯裁判対策内容は不明な点が多かったが、こうした新資料を基に、外務省側や大蔵省側による裁判対策内容の一端を明らかにすることが出来た。また陸軍側についても、国立公文書館において木村兵太郎関係の弁護関係資料(前述の「戦争犯罪裁判関係資料」に含まれている)を中心に収集・分析を行った。2.の作業によって、日本側の行った裁判対策の全容をかなりの程度解明することが出来た。今後はこれらの対策が実際の東京裁判での審理過程でどのように実施され、如何なる効力を発揮したのかについて詳しく解明していきたい。
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Research Products
(2 results)