2010 Fiscal Year Annual Research Report
アミロイドβのC末端領域の立体構造解析に基づいた凝集阻害剤の開発
Project/Area Number |
10J04068
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 瑞穂 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アルツハイマー病 / アミロイドβ / オリゴマー / βシート / ターン / 抗体 |
Research Abstract |
アルツハイマー病(AD)の原因物質であるアミロイドβ(Aβ)は凝集することで神経細胞毒性を示す.近年,その凝集中間体であるオリゴマー(2-4量体)が細胞毒性を示す分子種である可能性が指摘されている.42残基のAβ42は,40残基のAβ40より顕著に高い毒性とオリゴマー形成能を示す.この違いは,C末端領域におけるターン構造や分子内βシート構造の有無に起因するものと考えられる.従って,C末端領域の二次構造を認識する抗体はAD治療薬につながる可能性がある.本研究は,Aβ42のC末端領域を特異的に認識する抗体を作製することを目的としている. 当研究室で開発されたAβ42の22,23番目のターン抗体(anti-G9C, E22P-Aβ9-35)6種を,Aβ42のC末端領域のプロリン変異体を用いてスクリーニングしたところ,M35P-Aβ42に対する反応性が極端に低いクローン2種(1A1, 24B3)を見いだした.35番目のメチオニン残基は,C末端の分子内βシート構造の形成に重要であるため,これらのクローンはAβ42オリゴマーのC末端領域の構造を認識している可能性があり,今後の展開が期待される.一方,C末端領域の分子内βシート構造を固定したG25C, G38P-Aβ25-42を合成し,このペプチドに対する抗体の作製を試みたが,水溶性が極端に低く成功しなかった.そこで,N末端に極性アミノ酸残基を導入したCKKK-G38P-Aβ32-42を合成した.さらに,Aβ42の二量体モデルを合成するため,分子リンカーとして2,6-diaminopimelic acidを凝集活性に影響のない30番目のアラニン残基に導入してペプチド同士を架橋し,C末端領域の架橋二量体(A30DAP-Aβ22-42 dimer)を得た.現在,これらのペプチドを抗原として抗体の作製を行っている.
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