2010 Fiscal Year Annual Research Report
短時間の電気的感覚情報入力と運動の組み合わせによる学習促進効果
Project/Area Number |
10J04098
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上原 信太郎 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 体性感覚 / 運動技能 / 運動学習 / 神経修飾 / 感覚入力 / 神経可塑性 |
Research Abstract |
身体抹消からの体性感覚情報は、脳内でその感覚に対する情報処理が行われると同時に、直接或いは間接的に運動関連領野へ神経信号が到達し、結果的に運動領野の神経活動を修飾することができる。運動実行や技能の獲得・学習に関わるとされる運動関連領野の神経活動を、感覚入力によって修飾できるのならば、運動技能やその学習過程における行動学的変化をも望める可能性がある。そこで本研究は、体性感覚入力による運動領野神経修飾作用を応用し、ヒト運動技能や運動学習に対する感覚入力の介入効果を行動実験及び脳機能画像法を用いて検証することを目的とする。 今年度は、短時間の電気的感覚入力が直後の運動領野の神経活動、及び運動技能に及ぼす影響について、神経生理学実験と行動実験を用いて検証を行った。母指皮膚上から運動閾値下の電気刺激を入力し、対側皮質脊髄路の神経興奮性を経頭蓋磁気刺激法を用いて評価した。皮質脊髄路の興奮性は刺激直後に増大しており、同様の変化は対照条件では確認できなかった。これにより、短時間の筋感覚刺激であっても、一時的に運動領野の神経活動修飾が生じていることが明らかとなった。更に、感覚刺激直後に手指の運動技能を評価した所、刺激介入前のパフォーマンスよりも、刺激直後は高いレベルで実行できることがわかった。詳細な運動分析の結果、実行中は手指の運動変位量が減少していることが明らかとなり、余計な運動成分の抑制、つまりは効率的な運動制御の促進が、その背景に関わっている可能性が示された。最後に、感覚入力による即時的な技能向上効果は翌日まで維持され、刺激と運動の組み合わせを日々繰り返すことで、停滞していた技能を更に段階的に促進できることがわかった。これらの結果は、運動前の感覚刺激が、運動学習を促進する効果的手段の一つとして応用できる可能性を示している。
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Research Products
(3 results)