2010 Fiscal Year Annual Research Report
カイコ摂食行動調節因子(HemaP)の構造活性相関および摂食行動の分子機構の解明
Project/Area Number |
10J04193
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
諸岡 信克 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | カイコ / 摂食行動 / HemaP / 30Kタンパク質 / CDスペクトル / 二量体 |
Research Abstract |
1.カイコHemaPの構造活性相関:大腸菌発現系またはアミノ酸合成を用いて16種類の部分欠損カイコHemaP、および3種類のカイコHemaPとエビガラスズメHemaPのキメラHemaPを作成した。これらを用いた活性測定から、N末端から10-30残基(コア領域)がHemaPの種特異的な活性発現に必須であることが明らかとなった。ゲルろ過クロマトグラフィーおよびCDスペクトル解析の結果、HemaPはコア領域を介して種特異的な二量体を形成すること、およびHemaPのコア領域はαヘリックス形成能が他の領域と比較して高いことが明らかとなった。また、HemaPは熱変性に可逆的で、疎水性相互作用する可能性が示唆された。 2.HemaP結合タンパク質とHemaPが摂食行動に及ぼす影響:作製したカイコHemaPのアフィニティーカラムおよび免疫沈降法により、カイコ幼虫体液からHemaP結合タンパク質として30Kタンパク質を同定した。大腸菌発現系を用いて、30Kタンパク質のリコンビナント作成し、HemaPアフィニティーカラムによりin vitroにおいてもカイコHemaPと30Kタンパク質が結合することを確認した。次に、30Kタンパク質をカイコ幼虫に投与した結果、カイコ幼虫の摂食モチベーションを抑制することが明らかとなった。これは、30Kタンパク質がカイコHemaPと結合し、HemaPの摂食モチベーションを上昇させる活性を低下させることで起こることが明らかとなった。カイコHemaPおよび30Kタンパク質の体液中の存在量とmRNAの発現解析を、成長段階を追って明らかにした。以上の結果から、5齢後期のカイコ幼虫は、体液中のHemaP量を減少させ、30Kタンパク質の存在量を増加させることによって、摂食モチベーションを減少させることが示された。
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