2011 Fiscal Year Annual Research Report
カイコ摂食行動調節因子(HemaP)の構造活性相関および摂食行動の分子機構の解明
Project/Area Number |
10J04193
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
諸岡 信克 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | カイコ / 摂食行動 / 30Kタンパク質 / HemaP / CDスペクトル / 多量体形成 |
Research Abstract |
1.カイコHemaPの構造活性相関:昨年度に引き続き大腸菌発現系またはアミノ酸合成を用いて作製したペプチドを用いてカイコHemaPの構造活性相関の解明を目指した。具体的には、17種類の部分欠損のカイコHemaP、および3種類のカイコHemaPとエビガラスズメHemaPのキメラHemaPを作成し、それらの生理活性測定、CDスペクトル解析、ゲル濾過クロマトグラフィーを用いた多量体形成能の解析を行った。その結果、N末端から10-30残基(コア領域)がHemaPの種特異的な活性発現および二量体形成に必須であることが明らかとなった。また、HemaPのコア領域はαヘリックス形成能が他の領域と比較して高いことが明らかとなった。さらに、この高いαヘリックス形成能と活性発現には、コア領域の構造安定性が重要な役割を有していることをコア領域のNおよびC末端を化学修飾した部分ペプチドを用いた解析から明らかにした。 2.HemaP結合タンパク質の機能解析:昨年度、カイコの幼虫体液からHemaP結合タンパク質として30Kタンパク質の1つ30K6G1を単離同定した。作製した組換え30K6G1は、in vitroにおいてもカイコHemaPと相互作用することが確認された。また、2種類の摂食モチベーションの評価系を用いた解析から、組換え30K6G1はカイコHemaPと複合体を形成することで、HemaPの摂食モチベーションを上昇させる生理活性を低下させることが明らかとなった。さらに、カイコHemaPおよび30Kタンパク質の体液中の存在量とmRNAの発現レベルを、成長段階を追って解析した。その結果、5齢後期のカイコ幼虫において、体液中のHemaP量が減少する一方で、30Kタンパク質の存在量が増加することによって、摂食モチベーションの上昇が抑制されることが示された。
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