2011 Fiscal Year Annual Research Report
不活性X染色体の単離による不活性化因子の網羅的解析
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10J04210
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
相馬 淳美 鳥取大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | GFP / X染色体不活性化 / MacroH2A / 微小核 / トランスジェニックマウス / 初期胚 / 内部細胞塊 |
Research Abstract |
1.不活性X染色体をMH2A-EGFPで標識した細胞株を用いて微小核の形成、分離を行い、不活性X染色体を含む微小核のソーティングを試みた。そのためにまず、微小核がフローサイトメーターでどのように検出されるか調べた。FSC-SSCで解析したところ、特異的な細胞集団は検出されなかった。そのため、6、1μmの標準ビーズを用いて、微小核の存在範囲を限定し、更に染色体を含む微小核をDAPIで染色することで、大きさ・GFP強度・DNA含量量を指標に効率良く、微小核集団を特定出来るフローサイトメーターの条件検討を行った。これまでに微小核のソーティングは行われたことがなかったため、微小核がフローサイトメーターでどのように検出され、ソーティングを行うためにどのような条件が必要かを検討したことは今後の実験において重要な検討であった。 2.これまでに培養細胞及び胚盤胞期胚において、MH2A-EGFPを利用し、不活性X染色体を1点の強いシグナルとして標識出来ることを示してきた。今年度は、X染色体の活性状態を胚発生過程で追跡出来るシステムの確立に向けて、トランスジェニックマウスの初期胚発生過程におけるMH2A-GFPの挙動を解析した。その結果、不活性X染色体が再活性化される内部細胞塊においては、栄養外胚葉で観察される核内の1点のシグナル数が減少し、不活性X染色体のマーカーとなるXist RNA、H3K27me3のシグナル数も減少していた。このことから、MH2A-EGFPはX染色体が不活性化する際は不活性X染色体上へ集積し、不活性X染色体が再活性化する際は不活性化していたX染色体上から消失することが考えられた。これらの結果から、MH2A-EGFPを利用して、初期発生過程におけるX染色体の活性状態を追跡出来ることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MH2A-GFPが不活性染色体領域特異的ヒストンH3のメチル化と同様の挙動を示し、X染色体の活性状態に応じて、集積及び消失することを確認し、MH2A-GFPが不活性X染色体を標識するのに有用であり、不活性X染色体の単離に向けての基礎的な基盤が確立したので。
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Strategy for Future Research Activity |
X染色体不活性化因子を網羅的に調べるために、不活性X染色体のソーティングを引き続き行うと同時に、培養細胞において、siRNAライブラリーを用いた因子の探索を行う。 また、X染色体不活性化の全体像を可視化するために、不活性化に関与の示唆されている因子と蛍光タンパク質の融合タンパク質を用いて、リアルタイムにX染色体が不活性化していく様子を追跡出来るモデル細胞の確立を目指す。
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