2010 Fiscal Year Annual Research Report
フグ毒結合タンパク質における毒物の競合と分子基盤の確立によるフグ毒化機構の解明
Project/Area Number |
10J04227
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
三木 志津帆 九州大学, 大学院・農学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | トリブチルスズ(TBT) / TBT結合タンパク質(TBT-bps) / テトロドトキシン(TTX) / フグ毒結合タンパク質(PSTBP) / フグ |
Research Abstract |
これまでの研究で、有毒フグ魚類の血液中において、トリブチルスズ(TBT)が高濃度で蓄積することを解明し、その原因としてTBT結合タンパク質(TBT-bps)およびフグ毒結合タンパク質(PSTBPs)が寄与していることを予測した。両タンパク質は、毒物の吸収あるいは生体外への運搬・排泄を担う重要なタンパク質として注目されている。両タンパク質で一部解析されているアミノ酸配列から、フグは、TBT-bpsを分子進化させることによって、フグ毒と結合できるPSTBPsを有すようになったと推測している。この分子進化上の関係を解明する事に寄って、フグが毒化するに至った道筋を解明することにつながると期待している。そこでまずは、両タンパク質の機能解明のため、2010年度は以下の研究を進めた。 (1)TBT-bpsおよびPSTBPsにおけるTBTおよびテトロドトキシン(TTX)の蓄積・競合特性の解明の研究を行った。養殖トラフグを入手し、静置後、TBTおよびTTXを腹腔内投与した。対照区と投与区(TBT単独投与区、TBT+TTX複合投与区)を設けた。血液を遠心分離して、血清を得た。血清は硫安分画後、ゲルろ過クロマトグラフィーとNative-Pageを経て精製した。TBT-bpsおよびPSTBPsにおけるTBT量の測定を進めている。 (2)TBT-bpsおよびPSTBPsの分子基盤の確立のための研究を進めた。TBT-bpsおよびPSTBPsを有することが分かっている養殖トラフグを入手した。肝門脈から血液を採取し、ゲノムDNAを抽出した。現在、トラフグPSTBPsの配列の解読を進めている。
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