2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J04348
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
栗田 侑典 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | キチン・キトサン / グリーン・ケミストリー / ph応答性ナノ粒子 / 水系Nアルキル化 / マイトマイシンC / ドラッグ・デリバリー・システム |
Research Abstract |
有機ラジカル電池は、次世代のフレキシブルな電源デバイスとして期待を集めているが、石油材料を用いるため、再生産が困難、調製にかかるエネルギー、廃棄によって放出される二酸化炭素などの問題を抱えている。 従って本研究では、天然で多量に生産され、温和な条件で反応できるアミノ基を持つキチン・キトサンに着目し、材料・調製・廃棄の3点において環境に優しい新規有機ラジカルポリマーの調製を目指す。 キチン・キトサンより二次電池に用いる正極活物質である有機ラジカルポリマーを化学合成するため、水系・温和な条件でアミノ基に選択的に効率良く進行するアルキル化反応を開発した。その反応最適化を行うために調製したN-カルボキシメチルキトサンは水に対し特異な溶解挙動を示し、酸性・塩基性関係なく溶解するものの弱酸性の狭いpH領域内で不溶化した。この不溶物を透過型電子顕微鏡および動的光散乱で評価したところ、ナノ粒子であった。ナノ粒子の粒径は表面電位の絶対値に依存するため、pHを細かくコントロールすることで直径10~100nmの間で自由に制御することができ、粒径も揃ったものが得られた。 このようなpH応答性のある粒径の揃ったナノ粒子で、両新媒性の分子構造という特徴は、ドラッグ・デリバリー・システム即ち薬のナノレベルのカプセルとしての応用が期待される。そこで、マイトマイシンCという薬を混ぜてナノ粒子を形成したところ、粒子内にマイトマイシンCを取り込むことに成功した。そしてマイトマイシンC担持ナノ粒子をpH2、7、10の緩衝液中に浸漬し、マイトマイシンCの放出挙動を評価したところ、酸性のpH2では担持量の40%程度の放出であったのに対し、pH7および10では80%以上放出された。即ち、N-カルボキシメチルキトサンを用いることで、マイトマイシンCが腸で吸収されるときの効果のみ発現させ、胃で吸収されたときの効果を抑えることができると期待される。
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Research Products
(3 results)