2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J04348
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
栗田 侑典 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | キチン・キトサン / N-アルキル化 / 水系反応 / グリーン・ケミストリー / ナノ材料 |
Research Abstract |
有機ラジカル電池は、次世代のフレキシブルな電源デバイスとして期待を集めているが、石油材料を用いるため、再生産が困難な資源であり、廃棄によって放出される二酸化炭素量などの問題を抱えている。 従って本研究では、天然で多量に生産され、温和な条件で反応できるアミノ基を持つキチン・キトサンに着目し、材料・調製・廃棄の3点において環境に優しい新規有機ラジカルポリマーの調製を目指す。そしてキチン・キトサンより二次電池に用いる正極活物質である有機ラジカルポリマーを化学合成するため、水系・温和な条件でアミノ基に選択的に効率良く進行するN-アルキル化反応を開発した。 これまでの研究で、ハロゲン化酢酸と炭酸水素ナトリウムにより水中でキトサンのアミノ基を選択的にカルボキシメチル化することに成功した。さらに様々なN-アルキル化を行うため、いくつかのハロゲン化アルキルを用いて同様の条件で反応を行った。すると、それぞれのハロゲン化アルキルの化学構造に対応するN-アルキルキトサンが生成した。特にN-ベンジル化は高い反応効率で進み、最大でキトサンのアミノ基1個につき1.64個のベンジル基を導入することができた。芳香族には安定にラジカル種が存在するため、この反応によって有機ラジカルポリマーの調製の可能性が示唆された。 また従来の有機ラジカル電池において、アクセシビリティの低いラジカルが充放電に関われず効率が落ちるという問題がある。したがって、天然構造由来の針状結晶の表面に多くのアミノ基をもつキチンを利用することを考えた。その結果、N-アルキル化がキチンの固体表面に反応が進行していることが確認された。また、N-カルボキシメチルキチンを水中で機械処理するとキチンの繊維状結晶を分散させることができた。このようにナノメーター単位の繊維状に分散できたことで、キチンの比表面積は飛躍的に向上し、ラジカル電池の充放電の効率を向上できると期待できる。
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Research Products
(3 results)