2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J04368
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
鳥越 裕恵 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ゼオライト / キセノン / ナノ反応場 / 希ガス化合物 / 金属クラスター / XAFS / 量子化学計算 |
Research Abstract |
本研究では金属イオン交換ゼオライトをナノ特異反応場として利用した室温で安定に存在するXe化合物の創製を目指している.この目的を達成するためには,Xeと金属イオンとの化学結合の本質を明らかにする必要がある.そこで22年度はXeと銀イオンとの相互作用について以下の三点をテーマとして研究を行った. 1.ゼオライト中の銀イオンクラスターの状態解析 X線吸収微細構造スペクトルを測定し,真空排気処理により銀イオン交換ゼオライト中に形成される銀イオンクラスターの構造解析を行った.その結果,試料中にはAg_n^<m+>クラスターとくにAg_3^<m+>クラスターが多く形成されることが分かった.拡散反射(DRS)スペクトルの測定の結果,Ag_n^<m+>クラスターに帰属されるバンドがXeを吸着させることにより高エネルギー側にシフトすることもわかった.これらの結果を考慮することによって,ゼオライト中に形成されたAg_3^<m+>クラスターがXeと相互作用することを明らかにできた. 2.計算化学による銀イオンクラスターの構造解析および電子状態解析 上記の実験から得られたデータを基礎とし,量子化学計算を用いてXeと相互作用する銀クラスターの構造解析を行った.その結果,Ag_3^<2+>クラスターが最も強くXeと相互作用することが分かった.また,電子状態解析から銀イオンクラスターの紫外可視スペクトル(計算)も得た.Xe吸着前後におけるスペクトル変化(計算)の挙動はDRSスペクトル(実験)から得られた結果とよく一致した. 3.遷移金属イオンとキセノンとの結合エネルギー算出 金属イオン交換ゼオライトへのXe吸着熱を測定することで,遷移金属イオン-Xe間の結合エネルギーを求めることができる.そこで,現有の吸着装置に22年度に新規導入した吸着熱測定装置を接続し,新しい装置として立ち上げる作業を行った(現在も進行中).今後,吸着エネルギーを実験的に求め,その値とAg_3^<2+>クラスターへのXeの吸着エネルギーの計算値がどの程度一致するかについて,モデルの妥当性も含めて検討する予定である.
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